アノニオン=ヴィレッジヴァンガード

負け犬アベンジャー

プロローグ

「長期病気療養休暇明けからいきなり出張とか、それってブラック企業じゃないですか」


「わかってる。それはわかってるんだけどしょうがないんだよ。何せ人手が足りないんだ」


「あいつ使えばいいじゃないですかほら、あの役立たずな寄生虫」


「ヤスダ君? 無理だよ役立たずだし、まだ怪我治ってないとか言い張ってるし」


「ダメじゃないですか。何でクビにしないんです?」


「一応初期メンバーだから」


「それじゃあ潰れちゃうんじゃないですか? 業績落ちてるんでしょ? 無駄は省かないと」


「いやアレはほら、新次元開拓プロジェクト失敗しただけだし。それも業績自体は上手くいってたんだよ? ただヤスダ君が最後の最後の書類出すのに失敗して大損しただけで……ここにいない人はいいんだ。残り二人も、これは君にしか頼めない仕事なんだよ」


「あの二人でも無理?」


「戦闘能力ならば申し分ないんだけど、今回は営業とかも兼ねて、だから。ほらうちで一番イケメン高身長で常識人は君だからね」


「そりゃーあの三人に比べればましですけど。それでどこ行かされるんです?」


「詳しいことはこの資料に。かいつまんで話せば新米女神が地域復興やろうとしててその下請けバイト、かな?」


「え? 派遣ですか?」


「いやその前段階かな。どんな感じか視察してみて、こちらからねじ込めそうな隙間があったら報告、ついでに営業もできれば。最新のカタログはこれで、予算とかは前と変わってないから、君の裁量で任せるよ」


「まぁこれくらいなら」


「あぁそうそう。それとこれは直接的な仕事ではないんだけど、どうやらがなんかやってるらしいんだ」


「え? それってどっちのです?」


「カンパニーじゃなくてうちの方、コーポレーション初代社長、人形フェチのツタヤ君だよ。もう辞めた人ではあるんだけどほら、遺恨みたいのができるとアレだから、程よく納めてくれるよ嬉しいなー」


「……えーーーーー」

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