山陰・四国の旅

 先日、男4人で山陰・四国を旅して来た。

 メンバーは考古学者の私と、物理学者の友人と、知り合いの社長と、知り合いの文学少年だ。

 東京から広島県福山まで新幹線に乗っていく。

 福山でレンタカーを借りて、私の運転で、しまなみ海道を通っていく。

 私以外の3人は皆ペーパードライバーだったので、必然的に私が運転することになったのだ。

 運転は苦ではなかった。

 第一の目的地は愛媛県今治市の村上海賊ミュージアムだ。

 村上海賊の船の模型や発掘されたものが展示されていた。

 数年前に「村上海賊の娘」という小説が本屋大賞を取ったことでも有名になっただろう。

 社長と物理学者はタイトルさえ知らなかったが、文学少年は知っていた。読んではいなかったそうだが「今回ここに来たのを機に読んでみますね」と言っていた。

 私も、たまには小説を読まないといけないなと思った。

 トイレ休憩がてら道の駅に寄って、それぞれお土産を買った。

 次は大山祇神社を参拝した。

 祀られている神は大山積、山の神であるのと同時に大海原の神、渡航の神である。

 文学少年と私は御朱印を集めていたので、それを頂く。

 生樹の御門というパワースポットがあり、樹齢三千年で、その樹の下を潜れば大きなエネルギーが感じられる。

 宝物館には源頼朝が奉納した鎧や刀が収蔵されていた。

 神社内にある海事博物館には海洋生物の標本があって、物理学者が興味深そうに見ていた。

 また福山に戻ってきた時には午後4時頃になっていた。

 ここで問題が発生する。

 福山城へ行くか、ふくやま文学館へ行くか、だ。

 2つは回れない。

 私は福山城には一度行ったことあるので、文学少年と共に、ふくやま文学館に行くことになった。物理学者と社長の組み合わせは中々、レアで、どんな会話を繰り広げたのか気にはなる。

 ふくやま文学館のメイン文豪は「黒い雨」や「山椒魚」で有名な井伏鱒二だ。

 残念ながら私は井伏鱒二の作品を読んだことがないが、文学少年がキラキラした目で展示を見ていたのが印象的だった。井伏鱒二の押しかけ弟子の太宰治について熱く語ってくれた。

 文学少年はショップで本を二冊買っていた。

 城に行った二人とも合流し「刀剣乱舞」のキャラクターである江雪左文字の銅像の前で、皆で記念写真をした。

 私と社長は、文学少年と物理学者にも「刀剣乱舞」を勧めた。

 文学少年は、なんと、その場でアプリをダウンロードしてくれたが、物理学者は「ゲームはやらん」という確固たる意志があったので、ダメだった。

 レンタカーを返し、ホテルに先にチェックインする。

 ホテルは普通のビジネスホテルで夕食は付いていない。

 部屋割りは私と物理学者、社長と文学少年となった。

 荷物を置いて、少し休憩し、少し暗くなった駅周辺で良い飯屋を探す。

 私達が選んだのは尾道ラーメンだった。

 尾道ラーメンは鶏ガラ、豚骨、魚介を使った醤油スープがベースとなっているそうだ。

 私はチャーシューを5つ程トッピングして食べた。美味い。

 帰りに見た福山城がライトアップされて綺麗だった。

 ホテルに戻り、物理学者と他愛もない話をする。

 風呂は皆で大浴場に入った。

 明日に備え、23時前には寝た。


 二日目の最初は尾道に向かった。

 まずはバスに乗って千光寺だ。

ロープウェイに乗って向かう。

参拝を済ませ、切り絵の御朱印を頂く。

ペットのお守りがあり、知り合いが飼っている猫へお土産にしようと思い、買った。

「文学のこみち」と言って、石碑に詩や文章が刻まれている通りがあって、文学少年は喜びながら写真を撮っていた。志賀直哉や正岡子規などは私も知っていた。

 隠れ家的カフェの「帆雨亭」というところで少し休憩をする。

 私はプラムのかき氷にソフトクリームトッピングを頼んだ。

 食事の待ち時間は志賀直哉の初版本を見て、文学少年の解説を聞きながら過ごした。

 かき氷は暑さに染みわたって美味だった。

 尾道は猫の街とも言われる。

 猫好きの私は坂を下りながら猫を探す。

 いた。

 猫ちゃん、猫ちゃん!

 地域の人に餌をもらっていた。

 私が触ろうとすると逃げていってしまった。悲しい。

 猫の細道には猫アートに溢れており、写真を沢山撮った。

 猫みくじというのがあって、私は小吉で「ちいさなしあわせ見つけよう」だったのに対し、文学少年は猫吉で、猫運がMAXになっていた。羨ましい。

 また休憩がてら「猫の横丁」という店に涼みにいく。

 気さくな店主がいて、なんと猫ちゃんを触らせてくれたのだ。しかも3匹も!

 猫ちゃん! 猫ちゃん! 猫ちゃん!

 さすが、お店の猫、腹を見せてくれる大サービス。

 頼んでいた飲み物を飲み終わり、名残惜しいが、猫ちゃんとお別れした。

 次は一番の目的としていた林原美術館だ。

「刀剣乱舞」九鬼正宗とのコラボだ。

 コラボパネルと一緒に写真を撮ったり、コラボのクリアファイルを買ったりして、いざ展示室へ!

 九鬼正宗はすぐ出迎えてくれた。

 九鬼正宗は九鬼守隆が所持したことから、その名が付いた。

 九鬼家は水軍を率い、織田信長や豊臣秀吉に仕え「海賊」とも呼ばれた。

 林原美術館の今回の展示は「美術鑑賞の事始め 見方の味方」と題し、小学生でも分かるように展示文が工夫されていた。

 少し歩いて岡山城へ向かう。

 岡山城は「烏城」とも呼ばれる黒い城で、宇喜多家、小早川家、池田家と城主を変えていった。展示も忍者が登場し、子どもでも楽しめるよう工夫がなされていた。

 次も少し歩いて、後楽園に向かう。

 後楽園はオフシーズンで、杜若も桜も咲いていなかったが、長閑な風景に癒された。

 茶屋でソフトクリームを食べながら、まったりした。

 これで、私達の旅は終わりだ。

 久しぶりに大人数で旅をして、色々と話が出来て楽しかった。








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