心霊100物語
@nyankichi8888
第一夜 山の小屋
これは10年程前に心霊繋がりで知り合った方に聞いたお話です。
田中さんは仕事も忙しく中々休みも無い会社で働いていました。
そんな田中さんにはお子さんが居て、お盆の休みにはお子さんが楽しみにしている昆虫採集に出掛けるのが毎年の日課だったそうです。
この年も、田中さんは子どもと関西の某山に昆虫採集に出掛けました。
お昼に樹液が出ている所を探し、目印を点けて夜にまた訪れて採集する方法を毎年していたそうです。
今回も下見で沢山の木に目印を点けて歩いていた田中さんとお子さんでしたが、そろそろ下見を終えようとした時にポツンと木々の間に建つ小屋が目に入ったそうです。
蜘蛛の巣がまとわりついて、ドアノブも錆びていて、いつからあるかわからない小屋は何か物々しい雰囲気に包まれていたそうです。
中に死体があったりしたらどうしよう?とか色々な事が脳裏に浮かんでいたそうですが、田中さんはお子さんの早く帰ろうと言う言葉も耳に届かずその扉を開けてしまったそうです。
中は暗くて何も見えないので懐中電灯で照らすと、壁一面に御札が貼られていて、小屋の中央には御札がびっしり貼られた古びた木箱があったらしい。
田中さんは絶対にその木箱は開けないでおこうと思っていたらしいが、この木箱がガタガタと震えだした事で、田中さんはその時どうしても開けなくてはと言う風に思ったらしい。
木箱に近づくと一心不乱に木箱に付いてる御札を引き剥がし、木箱を開けてしまった。
ブワーっと小屋の中から風が吹く、白いモヤのようなモノに包まれた部屋は物凄い寒気と猛烈な頭痛襲う。
外で「お父さん、お父さん…」と呼ぶ子どもの声が遠く感じる…。
田中さんは無我夢中で小屋の出口へモヤを掻き分け出てきた。
子どもが視界に入る…。
やっと外に出れたと思ったが、今まで「お父さん、お父さん」と叫んでいた子どもが田中さんを見てガタガタ震え、「お父さん…うわーーーっ!!!」と呼ぶと一目散に来た道を子どもが駆け降りて行った。
後に聞くと、この時田中さんの顔は狐のような顔になっていて、モヤだと思っていたモノは何十人もの人の顔で田中さんを見下ろしていたそうです。
後日、田中さんはあの場所には何があったのかを突き止めるべく、友人の霊能者の方と訪れたそうですが、そんな小屋は無くただただ木々が生い茂っているだけだったそうです。
日本では昔から、狐は何かに化けると言われますが、この時も人に化けて小屋を作り出し田中さんを別世界へ連れて行こうとしていたのかもしれません。
第1夜完結です。
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