白銀世界のリバイバー

神霊刃シン

白銀世界のリバイバー

イントロダクション

第1話 千年帝国


 ――帝国歴一〇一二年――


 千年の栄華えいがきわめた帝国も滅びの時を迎えようとしていた。

 それは突如とつじょとして現れた異形の無人兵器による侵略が原因である。


 人類統一をかかげる帝国は、必死に抵抗するも甚大じんだいな被害を受けていた。

 その無人兵器の外形は純白の金属で構成されている。


 人型ではなく、軍艦や戦闘機、戦車などの兵器をした姿をしていた。

 そこに交渉の余地はなく――戦闘に特化していた――と言える。


 同時に帝国や、その周辺国が所有していた、どの兵器よりも高性能であることは明らかだった。人間の運用を必要としない無人兵器――


 昼夜問わず、機能が停止するまで動き続ける。完全に異なった思想により造られた兵器にあらがうことは、もはや不可能だと思われた。


 さらに厄介やっかいなのは、生物に有害な〈白銀〉をらし、そこに存在する資源を根こそぎ奪って行くことだ。


 当初、帝国に支配されていた国々は、快進撃を続けるその無人兵器に歓喜した。

 そして〈セラフィム〉と名付け、たたえ、あがめる。


 だが――当然、それは『天使』などではなかった。

 帝国領の半分を蹂躙じゅうりんした頃、それは突如とつじょとして、全人類に対し牙をいた。


 人類は脅威きょういではなく、有効な攻撃手段を持たないことを理解したのだろう。

 そこからは被害が一気に加速する。


 各国の首都や軍港がいとも容易たやす陥落かんらくし、物流がとどこおる。

 人々はそこでようやく、それが人類の敵であることに気が付いた。


 帝国が如何いかに人類に対し、優しかったかを痛感する。

 しかし、もう遅かった。


 反撃しようにも攻撃どころか、近づくことさえ難しい異形の無人兵器。

 この世界の人類史では考えられない形状をした存在に対抗する手段は無い。


 オカルトとも言える分野に人類が手を出したのは、仕方のないことだろう。

 人類統一を目的としていた帝国はねてより、世界中の伝承を集めていた。


 そこで、一つの可能性を見付ける。

 かつて『悪魔』と呼ばれていた存在――その力を有する生体兵器。


 それを造り出す計画が動き出す。人の姿をした『悪魔』――彼らの名は〈ディアボロス〉とされ、戦場で戦果を上げる――はずであった。




 ――帝国歴一〇一五年――


 世界のすべては〈白銀〉に埋め尽くされ、帝国は終わる。

 それは、この世界における人類の滅亡を意味した。

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