俺の暴走を見ろ!
猛スピードで車を転がす。
俺の走る後ろから、あいつも負けじと追いかけてくる。
しかし、あいつがどんなに早く転がそうとも、俺を追い越すことはできないぜ!
こうしていると、あの頃の仲間たちとツーリング()をした事を思い出す。
そして、アニキの車でドライブ()をしたことも……
そのアニキは今、俺の走りを満足そうに眺めている。
ふぅ…… 回し車は、やっぱりいいものだぜ……
あの日、大激怒したアニキは、ヨーコを家から追い出した。
流石にアニキの愛チンチラをネズミ呼ばわりしたヨーコを許せなかったらしい。
まあ俺からみても、もふっとしてるだけの、ただのネズミなんだけどな!
追い出されたヨーコは、その腹いせに俺をさらわせた。そしてあの日の事件が起きたんだろう。
次の日に、アニキは『るぅ』の死を知って、泣いた。
『
モフスタグラムでは『るぅ』の死を、皆が悲しんでくれた。みずきのお陰で、『
嬉しいような、寂しいような、変な気分だ。でもやっぱり、みずきを悲しませた事は、なんだか悔しかった。
あの後飲み過ぎたアニキが酔っ払いながら
でも大事な仲間を失って、アニキはひどく落ち込んでいた。そこをヨーコに付け込まれたらしい。
そうでもなければ、アニキがあのヨーコを相手にするわけはないよな。
るぅの死から4カ月ほどして、俺は仔チンチラを2匹産んだ。
そのうち1匹には立派なモヒカンが付いていた。まるで以前の俺みたいだ。うん、俺によく似たイケメン……いや、イケチンチラだ。
その仔はみずきの所に行った。
もう1匹は、俺の元に残って、今日もこうして一緒に回し車で暴走している。
「うんうん。いい感じだな」
今日のアニキは上機嫌だ。
この回し車はアニキの勤め先の試作品だそうだ。
バイクの形をした模型のタイヤの部分が回し車になっている。カッコいいぜ!!
しかも本体の部分もトンネルになっていて、潜りこんで遊べる仕様だ。
今、アニキが撮っている動画は、商品の宣伝用に使うんだそうだ。
俺は今度はアニキのチンチラとして、再びモフスタグラムでの注目を浴び始めていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます