そしてあなたが忘れられなくて

@TYANMITSU

第1話 ‘ド‘田舎

 今から約16年前、俺高人(こうじん)」は鹿児島の‘ド‘が付くほどのとある田舎にすんでいた。どれだけ田舎だったかというと、小学6年生の同じクラスの人間は、男子7名、女子5名の計12名という少なさ。この頃、とうとう俺の住んでいる地区にも初めて‘コンビニ‘というものができ、小学生や中学生がそのころ約70円で買えたアイスを買うために、100円握りしめて通っていた高人はそこのコンビニでよく大人の雑誌をコソコソ立ち読みしていて、ある日とうとう店員から「それエロいやつだよね?」と注意されたのであまり行かなくなってしまったが。

 これを読んで下さってる方々の小学校生活とはどんなものだっただろうか。高人の小学校生活はあまり良い思い出は多くない。田舎あるあるなのかは不明だが良くも悪くも‘目立つ‘という行為を受け入れてはもらえなかった。その頃、高人は日本の歴史を勉強するのが大好きで、課題は自由で何かグループで発表する時もグループだと言われてるのに、1人戦国時代の武将について発表したりしていた。今思えば自分から避けていただけなので周囲のせいではない。ただ、同じクラス男女合わせて12名しか居なかったのに、仲は決して良くなかったと思う。現に今高人の連絡先のなかに同じクラスだった人は1件もない。高人だけ交換してもらえなかっただけかもしれないが。(笑)そんな感じで過ごしていただけに、小学生の同級生が中学生卒業まで変わらないというのは、高人にとって悩みの1つでもあった。そんなある日、高人は町の‘小学生の集い‘なるものに参加した。町といっても、人口約5000人程度である。そこの小学校と言えば町にある4つの小学校の全校生徒を足しても200人居るか居ないか。‘集い‘とはそこの4つの小学校の6年生3名ずつ集めて話し合いをするというものだった。高人はじゃんけんに負け、参加することになった。

 高人はこの話し合いというのが、すごく苦手だった。いや話し合いというよりグループを作るのが苦手だったというのが正しいか。けれども新しい出会いの可能性も少し信じながら‘集い‘は始まった。やはりグループを作ることになった。もちろん自分から誘う勇気はない。周囲はグループができ始めている。同じ小学校の2人はもうグループを作っている。「1人で良いかな。」そう思った時、1人の女子が誘ってきてくれた。「グループ作ろう」活発そうな女子である。多分1人浮いてた高人を見過ごせなかったんだと思う。その女子の名前は「怜奈(れいな)」怜奈はすでに同じ小学校の1人の女子と組んでいたのに誘ってくれたのだ。3人での話し合いが始まった。やはり活発の怜奈がどんどん意見を言ってくれる。高人はそれを黙って聞くだけ。もちろん人見知りや慣れないグループでの話し合いも理由の1つではあったが、1番大きい理由は、グループに誘ってくれた怜奈・・ではなくあと1人の女子に一目惚れしてしまったからである。目が綺麗で2つ結びの可愛い子「莉愛(りあ)」この出会いが高人にとって忘れられないものになるとはこの時思ってもなかった。そしてこの話し合いの題目こそ高人と莉愛の関係にとって大きな影響を及ぼすことになる。

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