夢の向こう側

水妃

第1話 夢の向こう側

夢を叶えよう!

夢を持とう!


君もこんな言葉を聞いたことがあるだろう。


夢は何?

目標は何かあるの?


君も一度は聞かれたことがあるだろう。


でも、

みんな夢や目標を叶えた後のこと、

深く考えたことあるかな?


やりたいことを全てやったあと、

そこに何があるのか。


人生に飽きた時、

もう今までのように

ワクワクを感じられなくなった時、


その絶望の中でも、

どしゃぶりの雨の中でも、

君は笑えるか。



やりたいことが次から次へと出てきていたあの頃。



未知なるものへのワクワク、

そして精一杯やり遂げて、

ボクは何度も達成感を感じた。


その生き方が好きだった。


しかし、

何度も繰り返していると、

ある時、同時に虚無感を感じた。


ボクはさらなる刺激を求めて、

新たな夢に向かって逆算して

また夢を叶えた。


今度は他者が夢を叶えるサポートをした。


自分だけではなく、

他者にも喜んで貰えた。


でも、長い時間が経つとその日常にも慣れてしまう。


繰り返すと脳の仕組みで飽きがきてしまう。


周りには贅沢な悩みだと言われた。



しかし、


自分にしか分からない苦痛というものがある。


今までは通用した方法はもう使えない。

通用しない時が来る。


この苦痛を乗り越える為にするあらゆる工夫が

無意味と化した時でも

笑顔のままでいられるのか。


そのまま生きていけるか。


夢や目標、目的、ワクワクが無くても、

生きていけるか。


時に病に倒れ、

今までと同じ動きが取れない中で、

笑って過ごす事ができるか。


最愛の人を亡くした中でも

そのまま受け入れて

抱きしめて感謝できるか。


常に問いかけた。




『それでもボクは、生きていくんだよ』

 



自分で死を選ぶことをしないボクは、

飽きながらも、

痛みを抱えたままでも

生きて、生きて、生きていくんだよ。


肩の力を抜いて。



どんなに辛くても、

ただ、呼吸を感じ、川の流れを感じ、

草木、青空、雲を眺めて、

ただ、人生の両面、真実を抱きしめて生きるんだ。


夢を叶えたあと、

君ならどう感じるだろうか。


それとも、既にどう感じているだろうか。


夢の向こう側で君は何を想う?


それとも、既に何を想っているだろうか。


ちなみに凡人のボクには、

もちろん叶えられなかった夢もあるんだ。


でも、

正しい努力を重ねた上での結果だから、

全力を出した結果だから、

それに悔いは無い。


もう一度チャレンジしようと思えないレベルでやり切ったんだ。

未練は無い。


最後にもう一度、

夢の向こう側に辿り着いた時、

君は何を想う?


何を既に想っている?


そこからどう生きていく?


そこからどう既に生きている?


追伸


そもそも、

夢や目標なんて無くても良いかも。

何故か夢や目標が当然のようにある前提で語られている世の中が不思議。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夢の向こう側 水妃 @mizuki999

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ