第6話 カルピス
頭がぼーっとする。
ドキドキしたけど、電話があんなに楽しいなんて。
明日、楽しみだな、、。
部屋を片付け、眠りについた。
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朝一番で図書館に行った。
図書館は自分の逃げ場だった。
追いかけ回してくる男も、高圧的なしつこい男も、
人権を無視して盗撮してくるような男もいない。
無視する人も、悪口や噂を立てる人もいない。
ざっと見て周り、何冊か借りる。
友達は本だった。
家に帰ろうと、
図書館の外に出て吹き出してしまった。
「よぉ!図書館よく居るって言ってたから
居るかなと思ってよ、見に来たぞ。」
派手なバイクに乗った秋川先輩だった。
「何してるんですか(笑)」
「だから、居るかと思って。
帰るの?
乗れよ、後ろ。
お前んち行くぞ。」
「え?」
有無を言わさず、バイクの後ろに乗せられる。
「ちゃんとメットしてね。
ちゃんと捕まっててね。危ないからね。」
「はい」
バイクが走り出した、
全然安定してて笑ってしまった。
もっとパラリラパラリラ〜とか
言いだすのかと思ったよ。
風が吹いて、
笑いしか起きない。
爽快で圧倒的に安心。
先輩、顔のチャラさに似合わず安全運転なんだ、、。
優しい人の運転はやっぱ優しいんだ。
いつもの道はいつもの道じゃなくなってた。
あっという間に自宅に着いた。
玄関を開けて先輩を部屋に通す。
少し緊張してきた。
先輩はチャラいから、
私もチャラそうな雰囲気を
出さなければいけないよな。
謎の気負いが発生している。
「おじゃましまーす」
「どうぞ。」
しずかちゃんの家ならここで
ジュース持ってくるよな。
「飲みもの持ってきますね。
くつろいで待っててください、」
先輩をソファに座らせる。
待って。
ここで、もっと。
もっとチャラく、なんかもっと、
「100人に抱かれたことあるオンナ」
みたいな事を言った方が
いい。絶対。
だって秋川先輩はチャラいのだから。
「先輩、くつろいでいてください。
その辺の、たんすの、
私のワンピースとか着てても大丈夫なんで。」
秋川先輩が「ハ?」みたいな顔でいる
「じゃ、、ジュース持ってきます」
何言ってんだろう私。
顔が赤くなる。
男の人を家にあげるのは初めてで
どうしたらいいか分からない。
コップに氷を入れ、
瓶に入ったカルピスの原液を入れる。
水で割ってマドラーでかき混ぜた。
カラコロする音が
もう思い出になっていく予感がしている。
ジュースをお盆に乗せ部屋のドアを開ける。
「カルピ、、ええ?!」
先輩が私のピタピタワンピースを着て
ソファの上に微動だにせず正座している。
「何してんすかァァ!」
「え、だからワンピース着てた。?!」
短すぎてパンツが見えている。
真顔だ。
「いや、さっきお前、
着ろって言ったよねぇえ?!
そういうルールかと思うじゃん。
何なんだ、
おまえの部族は!(笑)
LINEはいきなり
286件も入れてくるしよ!(笑)」
「初めて来た家で
人のたんす漁って
人のワンピース勝手に着こなして、、
適応力ありすぎですよ。」
二人で爆笑した。
「もういいや。
カルピスどうぞ。」
「おう、ありがとう。」
「俺、カルピス大好きなんだ。」
「え?」
「小さい時、
カルピス好きすぎて、、
手洗ってる時に
石鹸水がカルピスに見えて、
まさかカルピスの正体は石鹸水なんじゃないか、
って思って飲んだことあるんだ、、」
それを聞いて、雷に打たれたような衝撃を覚えた。
「え、ほんと?
先輩、
私もそれやったことある!」
こんな事するの自分だけかと思ってた。
「マジか!!」
「うん!マジ!!」
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