落ち込むアニータに侍女達が声をかけてくる。

ドアの外では、ロビンとクリスティーナ、護衛がなにか言い争いをしているようだ。

「アニータ様。すぐに公爵邸へ帰りましょう。」

「大丈夫ですわ。御父上様もいつでも帰ってくるように言われていたではないですか。」

「荷物もすぐに纏めますから。」

アニータは、目の前でロビンとクリスティーナの仲の良さを見せつけられて落ち込んでいた。

「私が、、、愛されるはずが無かったのよ。こんなにロビンの事が好きなのに、、、」

侍女達は口々に慰める。

「そんな事ありませんわ。アニータ様はこんなにお美しいですから。」

「そうです。相手がクズだっただけです。」

「ええ、もっといいお相手が見つかりますから。」

そう言う侍女達は、すでに荷造りを始めていた。

公爵邸に帰る事が以前から決まっていたかのように段取りがいい。

ロビン。

優しくて素敵なロビン。

初めて会った時から、アニータを大事にしてくれた。

大柄な体格から想像できないくらい仕草は丁寧で美しいロビン。

結局子供ができるほど触れ合う事がなかったロビン。

それなのに、、、、クリスティーナとは、、、、

アニータはロビンとの思い出を脳裏で思い出していると、頭の中のロビンはいつのまにかクリスティーナを抱きしめていた。アニータは思わず一筋の涙を流す。

数十分ほど呆然としていただろうか。

早くも荷物をまとめ上げた侍女達が、言った。

「「さあ、帰りましょう。アニータ様」」

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