東京少女

赤ぬこ むぎ猫

第1話




「岬!一体そっち行ったわよ!」

「はいはい分かってるって」

「ほらよっと!」

こちらへ向かってきていた敵魔法少女が大剣によって両断される。

この魔法少女の名前は橘 岬、私の相棒だ。

彼女は私よりも後に魔法少女になったのだが戦闘センスが良く、今では私が彼女に助けられることも少なくない。

私たちは現在とある任務で廃ビルの中にいる。

私たちの任務はこの廃ビルのどこかにいるであろう敵のボスを倒すことだ。

敵というのは私たちと同じく人工魔法少女で構成された組織だ。

そして私たちは組織は魔法少女を使って悪さをしている連中を捕まえたりしている。

だが、奴らがいつまでも野放しになっているはずもなく、こうして戦いが起こるわけである。そして私達は目の前にある大きな扉を開ける。

そこには大量の戦闘員たちが待ち構えていた。そして奥には一人の男が立っていた。

男は口を開く。

「ようこそ、我が組織本拠地へ」

すると男の後ろから少女が出てくる。どうやら女の子らしい。

その子を見た瞬間私は驚きを隠すことができなかった。

なぜならその子は………………

「特SS級魔法少女...ハンター....なんでこんな所に....」

この任務ではB級までしか出ないはずだったのに...なぜ……

もしかしてこいつがここに現れたことと何か関係が? そう考えているうちに敵の幹部らしき男と特SS級の子が話し始める。

どうやらあの子はかなり好戦的な子のようだ。

幹部の男の話を聞き終わると同時にすぐに飛びかかっていった。

幹部の男はそれを避けながら反撃する。

だが特SS級の少女はそれを物ともせずどんどん攻撃していく。

やがて幹部の男は膝をつく。

もう勝負は決まったようなものだな……

そう思った矢先だった。

突然辺り一面に煙が立ち込めたのだ。これは一体……

「ゲホッゲホっ!あぁくそ!何が起こったんだ?」

隣にいたはずの彼女が咳をしながらこちらへ寄ってくる。

「ゴホッ!大丈夫!?」

「えぇなんとかね。それより早くここから出ましょう。」

特SS級魔法少女、ハンターは既に脱出した後で、ビルの中央には戦闘痕がこれでもかと刻まれていた

「そうだね、早く戻ろう。」

そうして私たちは急いで部屋を出た。

すると先程までは晴れ渡っていた空が急に曇り始めてきた。

なんだか嫌な予感がするな……

私たちは急いで帰ることにした。………………


「岬!一体そっち行ったわよ!」

「はいはい分かってるって」

「ほらよっと!」

こちらへ向かってきていた敵魔法少女が大剣によって両断される

結局その後は特に何も起こらず無事に帰ることができた。

私たちは自分たちの基地へと帰ってきた。

そして私は彼女の元へと向かう。

いつも通り彼女は自分の部屋のベッドで寝転んでいた。

その姿を見て私は安心感を覚える。

そんなことを考えているといつの間にか私の後ろに彼女が来ていた。

振り返るといきなり抱きついてくる。

私は彼女を優しく抱きしめ返す。

しばらくそのままの状態が続く、だが突如として警報音が鳴り響く。

私たちはすぐさま着替えて外へ出る。外では既に多くの隊員たちが出撃の準備をしていた。

私達も準備を始める。

私達の部隊は特別部隊、部隊名アイザッツグルッペンと呼ばれている。その理由は敵組織の倒しかたにあり、敵組織は残党どころか一人残らず始末されることからそう呼ばれる

ドイツ語でアイザッツグルッペンは移動虐殺部隊と呼ばれ、かつてナチスドイツに存在したとされる悪名高い部隊のことである

普段は二人で一つのチームを構成していて、敵組織の本拠地を発見しだい、本隊に連絡、そして殲滅戦が行われる

「今日こそ奴らをぶっ潰すぞ!」

グルッペンB中隊の隊長の声が響き渡る。それと同時に私達は飛び出していく。

「さぁ狩りの時間だよ!」

そう言って彼女は大剣を振りかざした。


私もそれに合わせて大剣を構える。

私達はこの武器を使って戦う。

普通の人間なら絶対に扱えない大きさの大剣、それが私達に与えられた力だ。

これを振るうだけで周囲の建物など簡単に吹き飛ばすことができる。

この力は私達に膨大なエネルギーを与える代わりに、代償として定期的に大量の魔力を吸い上げてくる。

つまり、この大剣を使うということは、常に魔力を吸われ続けるということだ。

そのため魔力切れを起こしてしまえば私達はたちまち動けなくなってしまうだろう。

だからこそ私達はこの大剣を使いこなさなくてはならない。

敵が近づいてきたので私は大剣を横に振る。

敵はその攻撃を大剣によって防ごうとする。

大剣同士がぶつかり合う、しかし大剣の威力が勝っているのか、敵はそのまま吹っ飛んでいく。

すかさず追い討ちをかける。

敵はこちらに向かって魔法弾を放ってくる。それを大剣で弾きながら接近する。

敵は私の攻撃を受け止めることができず、壁を突き破り外まで飛ばされていった。敵は私の攻撃を受け止めることができず、壁を突き破り外まで飛ばされていった。

これであと少しで倒せるはずだ。

そう思った矢先、敵の様子がおかしくなった。

敵は突然笑い出したかと思うと、次の瞬間その姿が消えた。

しまった! 慌てて周囲を見渡す。だが敵の姿が見当たらない。

すると突然私の近くにいた隊員の一人が倒れた。

その瞬間、私にも敵の攻撃が来た。

だがなんとか避けきることが出来た。

だが今のは明らかに不自然だ。明らかにあの敵の姿が見えなくなったタイミングで攻撃が飛んできた。

それに攻撃が当たった瞬間に何かされたような気がする。一体何が……

すると今度は味方の隊員たちが次々に倒れ始めた。

どうやら他の場所でも同じようなことが起こっているらしい。

このままではまずいと思い、私も逃げようとするが足が動かない。

まさかと思って足元を見るとそこには鎖のような物が巻きついていた。

これは魔法の鎖、拘束用のもので、対象の動きを止めることが出来る。

だがそんなことは今どうだっていい。

なぜ私がこんな目に遭わなくてはいけないのだ。

私は必死に抜け出そうとするが、いくら引っ張ってもびくともしない。

そうしているうちに次々と仲間達がやられていく。

やめろ……やめて……くれ……

意識が遠のいていき、ついに視界までもぼやけてきた。

もうだめなのか……? そう諦めかけた時だった。

突然目の前に人影が現れた。

そしてその人は手に持っていたナイフのようなもので鎖を切断した。

私はその人にお礼を言う。

だがそこで再び敵が現れる。

また攻撃が来る!と思ったその時、敵が一瞬にして粉々になった。

一体何が起こったんだろうと思っていると、一人の女性がこちらへ向かって歩いてきた。

綺麗な銀髪の女性、歳はまだ20代

「あなた大丈夫?」

そう聞かれたので大丈夫ですと答えようとしたが、声が出なかった。

「無理しなくて大丈夫よ。」

そう言われて私は安心したせいかそのまま気を失ってしまった。

次に目が覚めた時にはベッドの上だった。

私は起き上がり周りを見る。

ここはどこ

「あら起きたのね。良かった。急に倒れるから心配してたのよ。」

私は彼女に話しかけられたことでようやく状況を理解することができた。

私は助けてもらったのだ。それもかなり強い相手に。

その証拠に今も私の周りには特S級以上の力を持つ者しか入れない結界が貼られ

「とりあえずまだ休んでなさい。それとこれあげる。」

彼女は私にあるものを手渡してきた。それは瓶に入った謎の液体だ。

「それを飲むと体力と魔力を回復させることができるわ。だから遠慮せずに飲んで。」

彼女はそう言ってくれたが、私にはどうしても飲むことができなかった。

なぜならこの薬は恐らく強力なドーピング剤の類だろうからだ。

飲めば確実に体は壊れてしまうだろう。

だが断るわけにもいかないので覚悟を決めて一気に飲み干す。

味は最悪だったが、効果は抜群らしく、すぐに体から力が溢れてくるのを感じる。

だがそれと同時に激しい頭痛に襲われる。

まるで脳に直接痛みを与えられているようだ。

耐えきれずそのまま気絶してしまった。


次に目を開けた時に見えたのは知らない天井...ではなく、見知った、総隊長の顔だった

どうやらあの後、総隊長に保護されここに運ばれたらしい。

そして今は治療を受けているところだ。

しばらくして体が動くようになったのでゆっくりと立ち上がる。

すると総隊長がいきなり頭を下げてきた。

私は驚きながらも理由を聞くと、 なんでも私をここまで運んできてくれたのは、さっきの女性ではなく、この人らしい。つまり私の命の恩人である。

なのでお礼を言ったのだが、総隊長は何も言わずに去っていった。

一体なんなんだあの人は そんなことを思いながら部屋を出る。

さっきの戦闘で随分怪我を負わせてしまったので、ひとまず謝りに行こうと思ったが、結局会えず仕舞いで終わってしまった。

仕方ないので私は自室に戻り、今後のことについて考えることにした。

今回の任務は敵の殲滅戦、つまりは残党狩りみたいなものだ。

だが今の自分の実力で果たして最後まで戦い抜けるのか 正直不安でしかない。

「はぁ……」

思わずため息が出る。どうすれば強くなれるのか、そもそも今のままでは足りないのではないか、などと考えていると部屋の扉がノックされた。

返事をすると、そこから出てきたのは先程の女性だった。

私は慌てて立ち上がり、敬礼をする。

すると女性は

「別にかしこまらなくてもいいよ。それより少し話をしない?せっかくだし色々と聞きたいことがあるんだけど。」

そう言われたので、私もちょうど同じことを考えていたので了承する。

「じゃあまず私の名前はレミーナって言うの。よろしくね。」

名前

「はい、私はラフィーネと言います。」

「それでまず最初に聞くけど、どうしてこんな部隊にいるの?」

その質問に対して私は言葉が詰まってしまった。

正直に話せば間違いなく止められるだろう。だが、私はもう誰かを失うのはまっぴらごめん

「それは……その……私のせいで大切な人が傷つくのが嫌だったんです……。でもそのせいで逆に迷惑をかけてしまって、本当にすみません!」

私は深く頭を下げる。すると彼女はこう答えた。

「なるほどね、そういうことならあなたにも事情があるみたいだけど、それでも私は反対かな。」

やっぱりか、どうせこの人もきっと私を止めるんだろうな……

「確かにあなたはとても強いと思う。少なくとも今の私よりも遥かに上の存在だと思う。」

えっ? 予想もしていなかった言葉に驚く。

「それにあなたの能力、多分時間操作系のものよね?私もその系統の魔法を持っているからわかるわ。」

驚いた。まさか自分以外にも同じ系統を持つ人がいるなんて思ってもなかった。

それにしてもなぜそこまで詳しく分かったのだろうか。

私が不思議そうな顔をしていることに気づいたのか、彼女は説明してくれた。

「簡単な話よ。あなたが攻撃を受ける直前、ほんの一瞬だけ時間が止まっていたように見えたの。普通はあり得ないことだし、恐らく時を操る能力を持つあなただからこそできた芸当なんじゃないかしら?」

私は改めて彼女の洞察力に感心した。


やはり敵わないなと思いながら私は正直に話すことにした。

「実はその通りです。私は相手の動きを止めたり、時間を操ったりできる能力を持っていました。」

「そうだったのね、納得いったわ。それでどうするつもりなの?このままだと死ぬかもしれないのよ。」

「はい、わかっています。ですが私はどうしても強くなりたいのです!私のわがままなのは分かっています!お願いします!私を強くして下さい!必ず結果を出してみせます!だからどうか私を鍛えて下さい!お願いします!!」

そう言って再び頭を下げて頼み込む。

これで断られたとしても構わない。

この人に認めてもらえるように頑張ろう。そう思ったが、彼女は意外な言葉を返してきた。

その言葉とは、 〈これから一緒に強くなっていきましょう〉 という一言だった。

私は驚いて顔を上げると、そこには優しい笑みを浮かべている彼女がいた。

どうやら私は運が良かったようだ。

こうして私は彼女と手を組むことになった。

それからというもの、私たちは毎日のように特訓をした。

と言ってもほとんど実戦訓練のようなものだったのだが、そこで私は一つ疑問に思うことがあった。

それは彼女の戦い方だ。

戦い方がまるで型にはまったような感じなのだ。

まるで予め決められたように、無駄のない動作で敵を仕留めていくのだ。

しかし、これはあくまで私のイメージだが、彼女の戦い方はどこか違和感があった。

何故だかわからなかったが、そんな気がしたのである。

そんなある日、突然総隊長が私たちに任務を言い渡してきた。その内容は、 《特SSS級魔法少女の討伐》 というものだった。

正直に言えば無理難題である。

この国で最強と言われている存在を倒すなど、とてもじゃないができないと思った。

だが断るわけにもいかないので仕方なく受けることにする。

そして、その日はすぐにやってきた。

私たちはいつもより気合いを入れて作戦会議をする。

だがその時の彼女は少し様子がおかしかった。

明らかに緊張していたからだ。

一体何が起こるのかと心配しながらも、ひとまず今日の方針を決め、各自準備を始める。

私は今回の任務で使う武器を新しく新調することにした。

理由は二つある。

一つ目は単純に新しいものにしたいという単純な理由と、二つ目の理由が、今回の戦いで私は彼女に勝たないといけないと思っているからである。

あの時の彼女の戦いを見ていて、私は絶対に負けたくないと感じた。

なので今回は本気で戦うつもりである。

ちなみに私が持っている剣は、以前使っていたものと同じものである。

それは何故かと言うと、この剣をくれた人が私にとって大切な人だったからであり、これがあれば私はいつでも戦えると思ってるからでもある。

そんなことを思いながら準備を進め、ついに出発の時間となった。

私たちは門の前で集合するとすぐに出発した。

移動中は特に何もなかった。

うして目的地に着くまで特に会話もなく進んでいくが、遂にその瞬間は訪れた。

目の前でいきなり爆発が起きたのです。突然の出来事に驚きながらも何とか回避するが、次は上から巨大な岩が落ちてきた。

その攻撃をなんとか避けながら前を見ると、そこには任務の目標であるSSS魔法少女アガペーがいた。

その姿を見て私は思わず呟く。

ーやっぱりSSS級...さすがに強すぎる……

その圧倒的な力の差を感じつつも私は諦めない。

なんとしてでも勝ってみせる。そう決心し、私は戦闘を開始した。

私がまず最初に仕掛けたのは遠距離からの魔法攻撃だ。

いくら相手が強敵であっても、近づかなければ勝つことはできない。ならば相手の隙を作りつつ、こちらの攻撃を当てるしかない。

私は自分の持てる魔力を全て使って魔法を放つ。

すると彼女の足元に魔法陣が現れ、そこから大量の石つぶてが出現し襲う。

この魔法は土属性の上級魔法である。

普通ならこれで倒せるはずなのだが、やはり簡単にはいかなかった。

彼女は一瞬にしてその攻撃を防ぐと、今度は向こうから攻撃を仕掛けてくる。

私はそれを避けると再び攻撃を開始する。

「炎の雨」

私は空に向かって手を掲げる。

それと同時に上空に複数の火球が現れる。

それを一斉に彼女に向けて放つ。

今使った魔法は火の中級魔法の上位互換に位置するもので、その威力は他のものと比較にならないほど高い。

流石の彼女も無傷では済まないはずだ

「雷の槍」

続いて放ったのは電気を帯びた無数の矢。

これもまた他の魔法とは比べ物にならないほどの破壊力を持つ。

しかもこれらの攻撃は全て違う種類のものだ。

これら全てを防げる者はおそらくいないだろう。

だが彼女は私の予想を上回る行動に出た。これら全てを防げる者はおそらくいないだろう。

だが彼女は私の予想を上回る行動に出た。

「水の盾」そう言うと同時に彼女の前に水でできた壁が現れた。

それらは全て私の攻撃を受け止めると消えてしまった。

私は驚いている暇はなかった。

なぜなら次の瞬間には彼女が私に接近してきていたからだ。

このままだと不味いと思い、咄嵯に後ろに跳んで距離を取る。

だが彼女はそれを読んでいたかのように、私の着地する場所に先回りをしていたのだ。

私は急いで迎撃しようとするが間に合わなかった。

彼女はそのまま蹴りを放ち、私の腹に命中した。その衝撃に耐えられず吹き飛ばされてしまう。

そして地面に叩きつけられた私は起き上がることができなかった。

どうやら肋骨が折れているようだ。呼吸が苦しくてまともに喋ることができない。

私は必死に体を動かそうとするが痛みのせいで上手く動かすことができない。

それでも立ち上がろうとするが、彼女が近づいてくる足音が聞こえたので、私は慌ててその場を離れる。

しかし、そこで体力の限界が来たのか意識を失ってしまった。

次に目が覚めた時、私はベッドの上だった。

いったい何があったのだろうか? あれからどのくらい時間が経ったのだろうか? そんなことを考えながら横になっていると、扉が開いて誰かが入ってきた。

その人物は私が起き上がっていることに気づくと、駆け寄ってきて抱きついてきた。

そして泣きそうな声で言ったのだ。

〈もう目を開けてくれないかと思った〉 その言葉を聞いて私は理解した。

あぁ、自分は負けたんだな、と。

そして、私は彼女に謝った。

ごめんなさい、と。

すると彼女は首を横に振ってこう答えてくれた。

〈あなたはよく頑張ったわ。だから気にしないでいいのよ〉 その言葉で私は救われた気がした。今まで誰にも認めてもらえなかった自分を、初めて認めてくれる人に出会えたような感覚になった。

それから私は彼女に全てを打ち明けた。

自分が何故強くなりたいのか、どうしてここまで勝ちたかったのか、その理由を包み隠さず話したのである。

すると彼女は笑顔を浮かべて、 〈そんなことのために戦っていたなんてね。でも、あなたの気持ちは伝わったわ。ありがとう。これからも一緒に頑張りましょう!〉 そう言ってくれた。それがとても嬉しかった。

私にもまだ希望があると思わせてくれたから。私にもまだ希望があると思わせてくれたから。

その後、私はもといた部隊、アイザッツグルッペンを脱隊し彼女の弟子となった。最初は戸惑ったが、今では感謝している。

こうして強くなれたのは彼女のおかげである。

だからこそ、今度は私が彼女を助ける番だ。

あの時の恩返しをする為に。

私はこの国で一番強くなる。

そして、いつか必ず彼女を救えるだけの力を手に入れる。

私はそう心に決めたのであった。


つづく

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