異世界で鎧になって美少女に着られた話

一(はじめ)

第1話気がついたら鎧になっていた

 気が付いたら鎧になっていた。

 何を言っているか分からないと思うが、俺も何を言っているのか分からない。

 俺はしがないサラリーマン。ブラックスレスレの中小企業で働く営業だったはず。

 日々の激務に体は限界を訴え、上司の嫌味な部長に有休を申請するも受け入れて貰えず、家に帰った後、ヤケで酒を飲みまくった。

 いくらなんでも許容範囲を超えるアルコールにこれはヤバい、と思った瞬間、目の前が真っ暗になった。

 そうして、今だ。

 鎧になっている。

 しかもただの鎧ではない。

 胸の部分と股間の部分だけを覆い隠すような形状の鎧、鎧の癖に防御力皆無そうな鎧、いわゆるビキニアーマーというヤツだ。

 銀色と青色に塗られた色合いは美しいと思うがこんなものを女性が装備しているとなると目のやりどころに困ること間違いなし。

 恥ずかしい上に防御力も全くなさそうな鎧だ。我が体(?)ながらこんなものを着るヤツはいるのか?

 そこに。


「うわー、スライムの粘液で鎧がベトベトだよ~」


 女の声がした。いや、女の子、か。

 かなり高めの甘ったるい声だ。

 そちらの方に意識を向ける。鎧になっている俺だが、周囲の様子を見ることもできるし、音を聞くこともできるし、匂いを嗅ぐこともできた。

 流石に食事は、無理そうだが。

 それと自由に動くこともできない。

 声の方向を見てみると。


「うう、別の鎧探さないとな~」


 女の子がいた。

 幼い顔たちをして、空のように綺麗な青い色の髪を肩まで伸ばしているセミロングだ。

 ベトベトの表現そのままに着ている鎧は粘液で溶けて色々と目のやりどころに困ることになっていた。

 背丈は小さく顔たちも幼いのだが、それとは不釣り合いに胸が大きい。


「あ、こんなところに鎧? ダンジョンのお宝かな?」


 少女は俺を見つけたようだった。トテトテと俺に近寄って来る。


「これにしよっと。ちょっと恥ずかしいデザインだけど」


 いや、待て、よせ、と俺は思ったが、鎧に口はない。何も言えるはずもなく、少女は目の前で武器なのだろう剣を地面に置くと、ドロドロになった鎧を脱いで、下着姿になる。これも目の毒だ。


「それじゃあ、着よっと♪」


 少女は上機嫌に俺を身に着けていく。

 鎧の胸の部分が少女の大きめの胸をぷにゅ、と締め付け、股間部分が少女の股間のあれの感触が下着越しに俺に伝播し、俺はもうなくなった顔が赤面する思いにかられた。

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