(三)-11

 俺は「なんだそれ」と指輪を受け取った。俺はこのとき、その「意味」の意味をよくわかっていなかった。そして彼女の右手の手首を持った。

「逆の手、左手の方だよ」

 そう言われて俺は彼女の左の手首を取った。

 すると彼女が手を広げた。

 俺は中指に指輪をはめようとした。

「そこじゃなくて、隣。薬指の方だよ」

「こっち?」

 そう言って指輪を薬指の先へ動かした。

「そう、そっち」

 そして俺は言われるがままに、彼女の左手薬指に指輪をはめた。


(続く)

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