(三)-5
学校では感情をあまり表に出さない木坂だったが、このときは嬉しそうだった。こんな表情ができるのか。しかも彼女の笑顔を見ると、なんかとても幸せな気分になった。
だから俺は「高くないのだったらいいよ」と言った。
彼女は「どれがいいかな」とネックレスやイヤリング、指輪を手に取ってみたり、耳に当ててみたり、胸元に当ててみたりして、時々俺に「どう?」なんて聞いてきた。
周囲の出店の灯りであまりよく見えないのもあったけど、そもそもそんな彼女を恥ずかしさで直視できないこともあり、適当に「いいんじゃね」と返答した。
(続く)
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