(一)-2

 彼女が何を言っているのか、一瞬理解できなかった。俺は妻の顔を見てみた。妻も俺の方を見ていた。

 俺は再び少女の方を見た。彼女は冗談を言っているふうでもなかった。あくまでも真面目な話らしい。

 あまりに唐突なことになんて言ったらいいかわからなかった。

 次の瞬間、秀人と愛実が俺の右腕と左腕にそれぞれまとわりついて「早く公園行こうよう」としきりに引っ張ってきた。妻も「早く行きましょう」と催促してきた。

「私たち、今から公園に行くの。あなたも一緒に来る?」

 愛生はそう続けると、子どもたちの手を引き、少女を押しのけるようにして玄関先を出て、廊下に出た。

 俺も「とりあえず、公園に行って話そうか」と言って玄関を出た。そして俺は家族と少女とともに近所の公園へ向かうことになった。

 一体、この少女は何しに来たというのだろうか。


(続く)

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