とある後輩のつぶやき
霞上千蔭
第1話
はぁ、、
私は小さくためいきをついた。
私は部活の同期の中で少し、いやかなり浮いていた。
きっかけは私に彼氏ができたことだった。
同じ部活の彼は、よく部活をさぼって遊びに行こうと言ってきた。
彼に嫌われるのが怖かった私は、断ることができなかった。
そして、気がついたときには周りの私を見る目が変わっていた。
部活に行くのが怖くなった。
部室に向かう足が日を追うごとに重くなっていくのを感じた。
あるときのミーティングで、顧問がこんなことを言った。
「うちの部は本気の奴だけしかいらない。本気になれる奴だけ残れ。」
部活をするために買った道具はけして安くはない。
彼は親に部活をやめるなと言われたようだった。
でも彼はすんなり部内の輪に戻っていった。
私をひとり、置き去りにして。
そんな中で私を部活に行こうと思わせたのは、よく声をかけてくれたひとりの先輩だった。
入部当初からよくしてくれた先輩。
誰に対しても平等に優しい先輩が私は大好きだった。
先輩も、きっと私のことをよくは思っていないのだと思う。
でも先輩の目はずっと変わらず優しいままだった。
私は先輩から離れられない。
たとえ先輩が迷惑に思ったとしても。
先輩、ごめんなさい。
そう思いながらも、私は今日も先輩に声をかけた。
とある後輩のつぶやき 霞上千蔭 @chikage_
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