あなたがくれたカミツレの花
@01_a_pp
第1話 プロローグ❶
-1917年 7月 スモルゴニ付近
私の身体は衝撃と熱風で宙に浮いた。
「...ヴェーリャ!」
誰かが私を呼んでいる。
「怪我したのはわかるけど起きて!!後退しなきゃ!」
「サーシャ....」
かすれた声で返事をした。
絶対聞こえてないだろう。なぜなら、周囲からは異様な爆音があたりに轟いているからだ。
.....家に帰りたい。
優しいお母さんに、少し生意気な妹に会いたい。
私はそう思いながら、重い瞼を開けた。
「ああ、最悪だ。今日は最悪の日だ。」
あたりには、人間だったであろうものがぐちゃぐちゃになって散らばっていた。
「何言ってるの!ヴェーリャ!
そんなこと言う暇があったら早く立ってよ!!」
(ちょっとは心配しろよ...)
そう思いながらも、アレクサンドラ・ガラノヴァ(愛称サーシャ)に手を貸してもらいながら起き上がった。
足がものすごく痛いが、逃げなければならない。
ここで死ぬわけにはいかない。
全ては父を殺すためにある。
家族を置いて出て行った父を殺すためである。
家に帰りたい。
母に会いたい。妹に会いたい。
....そう思っても意味はない。
家は2年前に家族と共に燃えてしまった。
これは私の戦争だ
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