第27話 大炎上

 死体となった村人A達をこのままにすると、魔物を誘き寄せる餌やアンデットになるそうだ。この世界での豆知識ってやつだ。子猫ちゃんがそう言っていたな。


⭐︎⭐︎⭐︎


Side 子猫ちゃん


「あなたは冒険者としての知識が全くないのですか? 魔物に殺された者はアンデットになります。必ずこの【聖なる松明たいまつ】を使ってあげてください。わたしの胸に返事をしないでください。何度も言わせないでください。子猫ちゃんじゃありません、ワーキャットです」


⭐︎⭐︎⭐︎


「エスカーナ、手向たむけだ。盛大に燃やしてやれ」


「任せてください、えへへ」


 そして、エスカーナはどこからか持ってきた大量のガソリン缶? を死体の山にこれでもかって大量に撒き散らし、またまたどこからか出した松明に火をつけてそれを死体の山に放り投げた。そして死体が燃えはじめた。俺は無言でそれを見つめていた。


「では、わたしは遺品の整理をしておきますね」


 エスカーナは、村人Aから剥ぎ取った遺品を、これはレアですね、えへへと言いながら、どこかに詰めて入れ出した。


「……」

「おにぃさん?」


 ふむ、学園祭の最後はキャンプファイアで締めるべきかな、いや、それよりもだ。あつ、あついぞ、火が飛んで、ぬおっ、木に移って、火が増してきたぞ、ガソリンって、そもそもありえなくないか、これって、このままだと、水はどこだ、そもそもガソリンだと水は逆効果では、考えろ、考えるんだ。だめだ、これは、燃える、燃えるぞ、燃え広がるぞ、もう、詰んだ?


「くそおおおおおお、どうしてだ、どうしてこうなるんだ! (追放の次は炎上なのか)」


「おにぃさん」


 ミリカちゃんは、村人A達が亡くなったことに俺が嘆き悲しんでいるように見えていた。あなた達のこれは、世界に愛を満たすために使わせていただきます。きっとおにぃさんが王様になって、と村人Aのタマタマにミリカちゃんは黙祷を捧げていた。


「竜也さ〜ん、遺品も倉庫に回収し終わりましたよ、えへへ、よく燃えてますね。ファイあーですね。かなりの値打ちものもありましたから、今回もラッキーでしたね、どうしました、竜也さん?」


「いや、ここから、早く移動しよう、すぐにだ」


「うーん、お昼はまだですよ? 」


「そんなのは後だ、今、すぐいくぞ、さぁ、エスカーナ、ミリカちゃん、ここから逃げ、いや先を急ごう、(このままだと火事に巻き込まれる)俺たちには、時間がないんだ」


「はい、おにぃさん」


 俺たちは来た道を戻ることにした。看板があったはずの場所に戻ると不思議なことにその看板があった形跡もなく、ただの草花が生えているだけだった。しかし遠くの方では大量の黒煙があがっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る