第26話 世界の王になる?

 ゴブオを殴り殺した俺の手は緑色の血で染まっていた。ゴブオにしてはなかなか、逃げ足が速かったな。ここまで殴ってやったのになかなか死ななかった。


「おにぃさん!!」

「竜也さん、待ってくださいよ」


 ゴブオを追いかけ回していた俺の元に二人が駆けつけたようだ。


「お、おにぃさん、一人でたおしたんですか?」


「ああ、ゴブオにしては粘ったな、いつもなら指先一つで殺してやったんだかな」


 俺を見つめるミリカちゃん、なぜか頬を赤く染めていた。


「わ、わたし、おにぃさんの子供が、いますぐ、欲しいです」


 その瞳は、怖いぐらいに真剣だった。俺の足が一歩引いた。


 いやいや、ゴブオを倒したぐらいでだな。冒険の旅が始まったばかりで、ずぐにパパになるのはダメだろう。毎回雑魚を倒して、そう褒められるのはな。俺としてはだな。


 おにいさん、カッコいいとか、つよーいとか、そう言ってくれるなら、いいんだ。


 でも、いきなり子供が欲しいなんて言われるのはな。この世界では普通なのか。俺の世界の常識が間違っているのか、いや、やはりミリカちゃんは聖液中毒が酷いんだろうな。早く治してやらないとな。ちょうどいい、このゴブオの王冠を頭に乗せて、


「そうだな、俺はこの世界の王にでもなろうと思う。世界を愛で満たすためにな、それまで、ミリカちゃん、待ってくれないか」


 ミリカちゃんが治るまで適当に、言い訳していればいいだろう。


「そ、そうですよね、おにぃさんは、わたしには、もったない、人だから、おにぃさん、わたし、がんばりますから」


「そうか、頑張ろうな(聖液中毒を治すのにな)」


「はい!」


 ミリカちゃんの目の輝きがさらに増した。ミリカちゃん、本当に大丈夫なのか。すると、横からエスカーナが話しかけてきた。


「ああー知りませんよ、そんな約束しちゃうなんて、わたしはこの世界のレイプ魔が根こそぎオネエさんになるのは、止めようとはしませんけどね、えへへ」


 流石にオネエだらけの世界は流石に恐怖だな。俺の性剣がブルブルと震えだした。


 そういえば、ミリカちゃんの手に持っている。それはなんだろうな。


「ミリカちゃん、その黄金色の玉のついた首飾りはなんだ? 」


「そ、その、あの、ですね」


 その黄金色の玉がついた首飾りを見ては、顔を真っ赤にさせて、さらにおろおろしている。言葉が詰まっていた。


「えへへ、それはですね」


 ミリカちゃんを見てニヤニヤしているエスカーナだった。


「はうっ」


 ミリカちゃんの顔がさらに真っ赤になっていく。


「それ私の製作アイテムなんですよ」


 ミリカちゃんの、代わりにエスカーナが説明しだした。


「竜也さんが倒したゴブオさんがいるじゃないですか、そのゴブオさんに殺された村人Aさん達の大切なモノを回収することができるアイテムでミリカちゃんに頼まれて作成したんですよ、えへへ」


「はうっ」


 さらにミリカちゃんの顔がトマトのように赤くなっていく。


「そのアイテムはあっちの国で何個か頼まれたので、特許申請してミリカちゃんのパパさんに卸してもらうことにしたんですよ、限定商品ですから、一般には出回りませんけどね、えへへ」


「なるほど、野盗以外の遺品を奪うのは流石の俺も気が引けるからな。返せるものなら返してやるのもいいかもな」


「そうですね。うーん、元に戻すことができたらいいんですけどね。一旦取れちゃうともうどうにもなりませんからね、えへへ」


 俺の性剣が怯えている。どうしてだ。

 


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