第五章
第21話 おにぃさんなしでは生きていけない その1
「らっしゃい、防具屋にようこそって、ミリカちゃんにエスカーナちゃんじゃないかい、相変わらず可愛いねい、それにしても、クソガキ、おめぇ、なんて格好してんだ? 」
「おやじさん、こんにちはです」
「えへへ、親父さんはお世辞が上手なんですから」
「オヤジ、これの事か、夏だからな。ミリカちゃんに頼んで、オーダーメイドで注文してもらったアロハシャツだ。これは俺の眼鏡をエスカーナが改造して作ったサングラスだ。なかなかイケテルだろう? それにこのサンダルはドロップ品でレアものなんだ」
「いや、その格好はどう見ても働かないヒモニートにしか見えんだろう、だから噂されてんじゃねぇか? 」
「一体誰がヒモニートだ、ってあのくそババアか、まぁそれよりもだ」
一刻も早くミリカちゃんを、淫乱ピンクから解放しなければならない。俺はミリカちゃんを元に戻すために、旅に出ることを考えた。すると学園をやめて駆け落ち同然で俺に一生ついてくるとミリカちゃんが言い出したのだ。駆け落ちとは、なかなかのジョークだ。ミリカちゃんも冗談が上手くなったな。
学園で貴族令嬢達にミリカちゃんは平民差別され、王子やその側近供にはストーカされ、気の休まる日がなかったらしい。
元々、ロリパーティに同行する予定が、聖なる天使とやらが聖天使教会総本山に降臨し、とっても大切な(ビジネス)パートナーですから、宜しくしてあげてくださいね、えへへと天使がミリカちゃんを名指しして、神託を残したらしい。
そのせいでミリカちゃんは聖女と祀りあげられ、この国の王族が通う学園に通うことになったそうだ。どこかのテンプレのような話だな。
身体も精神もボロボロにされてしまったミリカちゃんは、俺のベッドの中に倒れた。そんなミリカちゃんを俺が何もかも忘れられるぐらい激しく抱いてあげたことと、ミリカちゃんのすべてを受け入れて俺が愛してやろう、愛してやろうと、激しく愛を俺に連呼されたことで、俺にホの字になったらしい。何を言ったのか、ナニをしたのか、あの時の俺はマキシマムゴージャスのせいでこれぽっちも記憶に残っていないがな。
それでミリカちゃんの装備を整えるために俺たちは防具屋に寄ることにした。それにしても色々な装備があるな。危ない水着か、これはミリカちゃんには向いていないな。やはりフリルのついた白の水着か、いや、あれの方が、ミリカちゃんに聞いてみるか。
「ミリカちゃん」
「はい、おにぃさん」
そう言ってミリカちゃんは俺の右腕に腕を組んできた。小ぶりの胸が俺の腕に当たって、ふむふむ。
「むむむっ」
エスカーナも負けずに俺の左腕に腕を組んできた。豊満な胸が俺の腕に当たっている。ほむほむ、よきかな、よきかな。
防具屋の親父が、二人をはべらせている俺の姿を見て絶句しているようだ。今の俺はどこからどうみてもハーレム野郎だ。
「エスカーナちゃんは、まぁ、いつも通りだから、その分かるんだがね、そのなんだ、ミリカちゃんが一体どうして、まさかこのクソガキにでも脅されているのかい? まぁミリカちゃんのことだ、そんな心配はないだろうがね」
「おい、オヤジ、俺がそんなことをするような奴に、うん? 」
確かに脅すというか、これでもかって襲ったのか。今日も朝から穴という穴にこれでもかって聖気を注入してあげたからな。聖液中毒もこれでだいぶ治ったはずだ。これは返答に困るぞ。
困惑している俺に、勇気を振り絞って助け舟を出そうとするミリカちゃんだが、
「そ、その、おにぃさんは、わ、わたしに愛を教えてくれて、わたし、おにぃさんなしではもう生きていけない、そんな、からだにぃ、今日も朝からたくさん、いたいれす、ひっぱらにゃいで」
俺は慌ててミリカちゃんの口を塞いだ。こらこら、こんなところで新鮮な儀式の話を人様に話すものじゃないだろう、めっだ。
ダメだ、本当に監視しとかないと、今のミリカちゃんは危険すぎる。聖液中毒の後遺症があって頭がエロってるのか、元々エロかったのか、ミリカちゃんに限ってそんなわけがないはずだ。本当に残念だ、エスカーナと同じになってしまったんだな。宿屋のババアにはまだばれてはいないと思うが、放っておくと取り返しのつかない事になりかねない。
「わたしだって、竜也さんのおっきなアレでこれでもかって愛をそそ、ひぎぃ、いたいれすう」
おいおい、次はこっちなのか、慌ててエスカーナの口を塞いだ。
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