第7話 大丈夫ですよ。下半身の、お世話も毎日してあげますから
この世界で君と出会えるとは思わなかった。彼女も俺と一緒に、この世界に飛ばされたのだろうか。だが、彼女はどうして裸なんだ。露出癖、それとも何か理由があるのだろうか。
……それにしても彼女は美しい。言葉では言い表せないほどだ。
「つっ!!」
えらく眩しいなぁ。
彼女の包丁が太陽の光に照らされ、キラリと反射した。俺は彼女から、包丁に視線を移した。
包丁から薄っすらだが、黒い
ああ、アイツだ。いやぁ、蜜を探すのに夢中で、すっかり聖剣エスカーナのことを忘れていたな。
俺は手首につけていた腕時計で時間を確認した。
あれから、1時間か、ふぅ~、幼少時代を思い出し、懐かしさのあまり、遊びすぎたようだ。俺としたことが、
『えへへ、わたしを捨てたんだ? だよね、だよね? そうだよね――? ゆるさない、ゆるさない、絶対にゆるさない――!! 一緒に、死んで――、死んでよぉ――!!』
ザシュッ――!!
俺は、真っ青になった。
な、なんてことだ、俺は殺されるかもしれない。いや、確実に殺される。これからどうする? どこか遠くへ逃げるか、それとも……
俺は聖剣エスカーナのことを今になって思い出した。
ま、まてよ、も、もしかして、彼女が……いやいや……そんなわけないだろう。
「えへへ~♪」
天使の微笑みをする彼女がだ。あいつのわけがない。きっと、気のせいだ。だが、気になる。彼女が手にもつ包丁が、ものすご~く気になった。
俺は、ふたたび、彼女の手に持つ包丁を観察することにした。
ふむ……なんて研ぎ澄まされた包丁なんだ。聖剣にも劣らない。きっと名のある刀工が打ったものに違いない。実に興味深いことだ。彼女は一体、この包丁を使って何を切り刻むのだろうか。この森の中にある食材といえば、野菜と果物、彼女の得意料理はなんだろう。
俺は彼女のことが気になり始めた。彼女を見ているだけで、ピリピリと手足に痛みを感じてしまう。心臓のドキドキと発汗がおさまらない。まるで、手足を切り落とされたような、そんな感覚だ。こんなの初めてだ。
……分かっているさ。きっと、あれなんだそう。これが
彼女を愛したい。彼女を幸せにしたい。彼女のためなら、俺の全てを犠牲にしてもいい。この愛する心を皆に伝えたい。
皆に愛を――
俺は空を見上げた。
なんて清々しいんだ。まるで、聖者にでもなったような気分だ。
『さぁ、愛の勇者よ、目覚めの時がきた。今こそ愛の力を手にし、真の勇者に目覚めるのだ』
この声は神の声なのか。俺を真の勇者として神が認めてくれたのか。温かい光が俺の左胸に集まってくる。
これが愛の力――
「竜也さん、見てください」
彼女が指さす方向を見ると――
それは、それは、綺麗なピンク色だった。
突然、頭にふらつきを覚え、俺の下半身が熱くなってきた。黒くよどんだ愛の力が、胸から股間へと移っていく。
俺は、魅了されたかのように彼女の身体を視姦した。
――そうだ、彼女に愛を教えてやろう。
おまえを、おれのものに!!
彼女に襲い掛かろうと思った瞬間――
木の葉が俺の目蓋をかすめた。
「つっぅ!! 俺は一体!?」
目の痛みで我に返ることができた。俺は一体何を考えていた。黒くよどんだ力に支配されかけたのか。このままだとこの力を抑えきれなくなる。だが、予想外の出来事が起こった。
何を思ったか彼女は俺に抱きついてきたのだ。
なぜ、こんなときに、抱きついてくるんだ。
「えへへ、竜也さん」
はやく、にげるんだ。このままだと、俺はちからに……のみこまれて……きみを……
「竜也さん、もう……離しませんから……今からこの包丁で……あとの事は心配しないでください。竜也さんのためなら……なんでもしますから」
彼女の胸の膨らみがダイレクトに伝わってくる。なんて柔らかさだ。
服越しに柔らかさが伝わってくる。
ドス黒い愛の力が股間へと急速に集まっていく。そして、すべての力が股間へと集まり、光が消えた。
「硬い物が……竜也さんのモノが……大きくなってる。……大丈夫ですよ。下半身の、お世話も毎日してあげますから、まず悪い手足を消してからそのあとにでも。いっぱい私が愛してあげますから。じーっとしていてください。今から悪い手足を切り落としますから」
「くっくっくっ…」
「竜也さん?」
ふっ、馬鹿な女だ。俺を愛してあげるだと、何を勘違いしている。俺が愛してヤルの間違いだ。お前、いや全ての女に、俺が愛を教えなければならない。それが、愛の勇者の使命だ。この
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