The Secret Super Girls〜心を救うヒーローはいかがですか?〜
CHIKA(*´▽`*)
プロローグってやつ、はい始まり始まり~っ
正義と悪の境界線ってなんだろうね
正義とは何か──それを考えた日は突然だった。
何かきっかけがあったわけじゃない。
ほんとにふと、そう思ったのだ。
そしてそれを考えると、必然的に悪についても考えてしまう。
せっかくの機会だ、少し色々と考えてみることにしよう。
よくアニメや映画で、『正義の味方』とか『悪の手先』とか聞く。
地球を征服しようとしているからそれを阻止、それは全然悪くない。
むしろそれを止めてもらわなければ、人々が大変なことになってしまう。
そこまではいいのだけどここからが問題。
倒す時にこれでもかってくらいに、ボコボコにする。
特に子供向けのものではよく見る展開。
これ以上悪事を働かないように、という意味でそうしているのだろう。
時々これが本当に正しいのだろうか、と考える時がある。
そもそも正解なんてものはあるのだろうか。
正しいなんて、その人がそう信じていたいものではないのだろうか。
自分達と考えていることやしようとしていることが違う。
それだけで袋叩きにしても、いいのだろうか。
そんなことは決してない。あってはならないと思う。
彼らがきっと何かそうしようと、考えた理由があるはずだ。
だからこそむやみやたらに闘う、なんてことはしたくない。事情があるならそれを聞きたい。
どうにかできないとしても、話すだけで気持ちは軽くなるはずだ。
それにより闘わず、平穏に解決することができるかもしれない。
私はそんなスタイルで生きている。
色々と話したけど、一応私がしていることは、『正義の味方』ってのにあてはまるのだろう。
いわゆるヒーローってやつ。でも出来るだけそう名乗りたくない。
なんなら好きじゃない。むしろいなくなればいいとさえ思う。
でも決して嫌いというわけではない。
なんならかっこいいと思うし、圧倒的に好きな方だ。
というか好きなヒーローがいる。
倒すというのが目的ではなく、救う方を主軸にしている人。
とても憧れるしこういう風になりたいな、とさえ思う。
その人には人生で一回だけ会ったことがある。
もしかしたら現実ではなかったのかもしれないけど。
忘れている部分もあるけど、私がヒーローを名乗るきっかけになった出来事がある。
5歳くらいの時のこと。デパートに両親と一緒に出掛けていた。
そこで何者かがたくさん子供がいる中で、私を人質にした。
どんな見た目の人だったか、性別も何も詳しいことは覚えていない。
ただ後ろから急に襲われた記憶は残っている。
一瞬の出来事だった。気が付いたらナイフに首が突き付けられていた。
周りにいた子供達には目も暮れずに、ただ自分だけをターゲットにしていたように感じた。
ナイフを首に突き付けられて、何も出来なかった。
誰もどうにも出来なかった。
そんな時に人がふたり現れた。
一人は女性というより、ゴスロリファッションの女の子。
もう一人は何も覚えていない。
何も武器は持ってなく、ただ他の客たちの一番前に立っていただけ。
それだけなのにオーラを感じた。このふたりは只者じゃないって。
幼いながらにそう感じたんだ。
そのふたりを見てナイフを私の首に更に近づけた。
もう少ししたら首に刃が触れそうだった。
生命の危機を幼いながらに感じた。このままでは本当に危ない。
じたばたと暴れてなんとか逃れようとした。
でもびくともしなかった。
両親はやめてくれと代わりなら私達が、と懇願していた。
その様子を見てもふたりは冷静だった。
冷酷というわけではなく、取り乱しているわけでもなく、ただ落ち着ていた。
そこでもう一人が何かを言った。何を言ったかは忘れてしまったけど。
ただその言葉を言った後の、周りの人達の反応は覚えている。
みんな呆れていたり怒っていたりした。
一体何を言ったのやら。
でもそこから言った言葉に何故か動揺していた。
そして最終的にはナイフを落として、その場に座り込んでいた。
警察が来てその人は連行されて行った。
こんな解決方法があるのかとみんな驚いていた。
「お嬢ちゃんっ」
女の子に声をかけられた。
もう既にしゃがんで、目線が合うようにしてくれていた。
「怪我はない?」
静かに頷いた。
「そっか、なら良かった。見た感じ、元気そうで何よりだよ。でも心までは元気とは限らないからね~。今日はお家に帰ってゆっくり休みなっ」
と言って頭を優しく撫でてくれた。
かっこいい、心の底からそう思った。
「じゃあ私達は先に帰るとするかな、じゃあね! 元気でねっ。また絶対何処かで会おうね~」
あれから彼女たちには、まだ会えてない。
でも私の憧れの人だ。
だから私はヒーローと名乗っているのだ。
小さい頃はよく正義のヒーローごっこをやっていた。
でもボコボコにするわけではなく言葉で説得したりと、彼女たちの真似事をしていた。
周りの子供たちは変なのと言ったり、その様子を笑ったりしていた。
それは仕方ない。だってみんなが思うヒーローは悪は全て倒すってのがほとんどだもん。
でもそれで良かった。
誰にも認めてもらえなくても、私は満足していたから。
高校の頃にはボランティアに参加したり、生徒会をやったりと様々な活動をしていた。
そこからちょいと色々あり、今に至る。
まぁ今の気持ちを言葉に表すとヒーローは大好きだしかっこいいし憧れる。
だけど、居なくなればいい。
というThe矛盾した気持ちというわけです。
目指しているのは、ヒーローがいなくてもいい平和な世界。
ヒーローの皆さんには、それ以外のことをして輝いて欲しいのだ。
自分の得意なことを活かしてできる職業が、絶対にあるはず。
いつ死ぬか分からない人生を、ヒーローで終えて欲しくない。
別の仕事に打ち込むなり趣味を楽しむなりして、他のことで寿命を全うして欲しい。
このことは他の職業でも同じことが言える。
いわゆる殉職という可能性が特に有り得る職業。
もちろん使命としてやっているということも、素晴らしい。
生涯その仕事を続けるでも全然良い。
ただ死と隣り合わせという状況を少しでも、いや全くないような状況にしたい。
そしてプライベートや趣味を楽しみつつ、この人生を充実に生きて欲しい。
この世界を思う存分に楽しんで欲しい。
どうやらこの世界に現れる悪党ってやつは、何かしら事情があるらしい。
人間以外の生物も色々とあるみたい。まだ出会ったことはないけど。
まっ、みんな生まれて来た時からひねくれてます~、なんてことはないしね。
何より私の一番の目的は、自分のことを誰よりも優先して、好きになる人を増やすこと。
好きなことや夢を応援したり、肯定したりとかしてね。
要約すると、世間とか人の目とか気にせずに、自分らしく生きていく人を増やすって感じ。
それのお手伝いをする、って言ったら分かりやすいかな。
そんなことを色々と考えながら、大好きな市販のミルクティーを飲む。
高級なティーカップに入れて。
それだけでも雰囲気が出るものだ。
高級なのもそれはそれで美味しいのだけど、今日は市販の気分。
カーテンから木漏れ日がさす。
今日はいい天気だ、こんな日はお出かけしないともったいない。
せっかくの晴れの日、気分転換以外にもどうにか有効活用したいものだ。
用事はお天気日和に済ませるに限る。
「そういえば、今日は優雅なひと時様のミルクティー、超高級生クリームを使用したのが新発売するじゃん。買いに行かなきゃ」
ということで、近くのコンビニかスーパーへ買いに行くことに。
洗面台に行き、鏡を見ながら髪型をツインテールにする。
私の一番お気に入りの髪型。個人的な意見になるけど、一番女の子らしさを感じるからね。
「ツインテールは勇気の証、っと」
我ながら超似合っている。その様はアニメや漫画に出てくる美少女だ。
くるりとその場で一回転して、笑ってみる。うん、良い感じ。
さて、先程ヒーローとは出来るだけ名乗りたくないと言った。
ならそれ以外なら名乗る名前があるのか、と思っているだろう。
その通りできちんとあるのだ。
『The Secret Super Girl』
ちなみに名前もきちんと名乗るけど、ほとんど本名を名乗らないことが多い。
色々と使ってみたい名前があるからね。
そんなこんなで一日が始まる。今日は一体何があるのかな。
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