4章 再発
休職期間は、およそ2カ月に及んだ。休職期間の後半は、図書館に通い最初は半日程度、徐々に時間を延ばして丸1日過ごすなど、復職への準備も怠らなかった。
症状はほぼなくなり、体も動かせるようになったと実感していた。会社へ連絡をし、復職のお願いをする。こちらも最初は半日くらいから初めて、徐々に時間を延ばしていく作戦だ。仕事は、それなりにこなせていた。表向きは……。ただ実際には細かいミスが頻発していたようである。恐らく会社でも扱いに困っていたことであろう。今思いかえすと、表面上の症状がなくなっていただけで、完全に治りきっていなかったのではないかと思う。ミスが多く、売り上げにも貢献できていないと当たり前の指摘を受けるが、どうしようもなかった。
そんなあるとき出向の辞令が出た。会社としては、社内に置いておいておくより、心機一転して頑張って欲しいという意向であったことは理解できる。会社員としては、断ることはできず、他社へ出向することになった。
出向先は、取引先でもあったので、なじみのある人も数人いた。また、自分の会社から出向している人っもいたので、なんとかなるかなと思っていた。
しかし、任された仕事は、これまでまったくやったくことのない仕事の連続であり、他のスタッフとの協業という感じでもなかったので、早々に行き詰ってしまった。なにをしたらいいのかわからないというのが正確なところだ。また、社風がまったく合わないのも苦痛であった。非常に厳しいのだ。引き出しの中に繰り抜かれたウレタンがあり、文房具は正確な位置にしまわないといけない。また、なにか食べようとすると食堂まで移動しなければならなかった。飲み物だけは、机上でもオーケーだったが、飲み終わった引き出しにしまうなど、自由な雰囲気とは程遠い環境だった。
仕事面、環境面で行き詰まりを感じているうちに、会社へ出社できなくなった。
これが再発だということはすぐにわかった。
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