軍産複合体

 とある孤島に軍産企業のお偉いさんが集合していた。

 本日は、弊社が開発した新兵器をこの島でデモンストレーションすることになっている。

 出展する部門と兵器は次の通りだ。


 一つ目は強化外骨格開発部門が開発した「キャンサー」。10本の複椀を持ち、6本が脚となって蜘蛛のように機動し、残り4本が腕として武装できる。脊髄神経連動システムによってかなりの動作を思考で操作できるため、搭乗者も武装して戦うことができる。今回のお披露目の目玉兵器だ。


 次は狙撃銃部門とドローン部門の共同開発チームの「TH3000」。狙撃銃部門は銃火器総合部門から独立した部門で、ドローン部門との共同での出展だ。その兵器は複数のドローンと連携し、さらにバイクと連結できる大口径長距離狙撃銃。ドローンとの連携では索敵から照準、武装ドローンによる周辺警戒ができる。重量があるため専用バイクで運搬をおこなう。もちろんバイクを運転しながらの狙撃も可能だ。


 三つ目は銃火器総合開発部門の「ドレイプニル」。シンプルにアサルトライフル一品の出展だが、銃弾装填システムに工夫がある。そのシステムは弾薬の次元転送装填。銃を撃つたびに遠方にある格納庫から銃弾が自動で次元転送されるため、実質弾切れ無し、装填動作無しで運用ができる無限連射ライフルである。


 四つ目は近接兵装開発部門の「リキッドソード」と「アドバンスドスーツ」。近接戦闘の部門らしく、流体金属でできた変幻自在の刀剣と、身体能力を拡張するアドバンスドスーツの二品の出展だ。


 五つ目は最後は医療研究部門。戦闘用医薬品らしいが詳細は不明だ。


 最後に我らが支援兵装開発部門。いわゆる光学迷彩スーツの出展だが、次世代型で多機能を有している。戦場で活躍すること間違いなしだ。

 

 デモンストレーション前のプレゼンテーションを終えると、弊社の社長が壇上に上がってきた。今回のプランには無い行動だ。

「さあ、それではこれより各兵器のデモンストレーションを始めよう。しかしどうだろうか?ただモニターから兵器の試験運用を眺めているだけではつまらないだろう。そこで私達幹部陣からサプライズを用意した。これから各部門はそれぞれの兵器をこの孤島に降ろして戦い合ってもらう。見事最後まで生き残った兵器が次世代の主力商品として製造販売しようではないか。どうだ、血が沸き上がるだろう。それでは準備に取り掛かってくれ給え」


 うちの支援兵装開発部門は迷彩スーツのデモンストレーションに軍人や兵士などを用意していない。研究者自身がおこなう予定だ。

 このままでは研究開発の責任者である私が戦場に降りざるを得ない……なんてことだ、くそ社長めが!

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