刺すような寒さにも、いくぶん慣れてきた。

顔をのぞかせる太陽にあたたかみを感じる。


余裕ができたわけではない。

一時の安らぎとか、心のよりどころだとか、そういう類のものなのだと思う。


苦しんでいる時期のふとした優しさに、さんざん憐れんだ自己の底から見た他人への羨望、移ろっていく季節、いろいろなものが併さって感じる淡い期待。


そうして生まれ、わずかながらに前を向いただけのさも儚い気持ちを、本当の意味で大切にしていけるだろうか。


自分には、その自信があまりない。

自信がない状況すらも少しずつ諦め、受け入れ始めている。


こうして生きていくのだろうな、と思う。

逃げることすら疲れたとき、いくらか、また前を向けるだろうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る