桜花舞姫
知恵舞桜
第1話 桜祭り
「おぉ、これが三百年も続くという噂の桜花桜祭りか。しかし、これは噂以上にすごいな」
初めてみる桜花の桜に圧倒される直人。
ここ山口で行われる桜花桜祭りは全国で有名な三大祭りの一つとしても挙げられている。他の二つとは違い春に行われている。
春に行われる桜祭りは、もちろん全国各所である。東京、京都、奈良、青森も有名である。桜が一面に広がる景色はどこも圧巻される。それでも、山口で行われる桜祭りはそれ以上にすごいと噂されていた。噂が人を呼び、そして人が噂を呼んだ。それほど、凄い祭りだと。噂は瞬く間に広がっていき、三百年たった今でも年々人の数は増えている。
今では二百万人以上の人が毎年祭りを楽しみに訪れている。
最初は、噂はあくまでも噂だと思っていたが、桜花桜祭りは他の祭りと比べると華やかで屋台が多く桜が綺麗なのかもしれないが、行けば噂を鵜呑みにしすぎるのはよくないと。そう思うだろうと。所詮は噂が独り歩きしているのだろう。そう思っていたが、実際に訪れてみたら噂を遥かに超えてくる祭りだった。
これは、桜祭りというより町全体が桜一色に染まっている。「ここは桜の世界だ」と言われても、信じて疑わない。それほど、桜が町を埋め尽くすように咲いている。ここまで桜が咲いている町は日本全国どこをさがしても見つからないだろう。いや、世界中探したとしても見つからないだろう。
上を見上げれば桜で覆われ空を見るのも難しく、前を向けばどこまでも続く桜の道となり後ろを振り向けばこちらも桜の道となっている。右を見れば山がピンク一色に染まっており、左を見れば桜の中に建物が見える。建物の中に桜が見えるのではなく、桜の中に建物が見えるという、なんとも不思議な景色だ。下を見れば、散った桜の花びらで出来たピンク一面の絨毯となっており、どこまでも続いている。
まさに、桜が世界を一面に覆っているみたいだ。あまりにも、幻想的で儚く美しい。本当に、これは現実なのか。夢なのではないか。そう思ってしまうほど、ここの景色は現実離れしている。
風が吹き桜の花が散り、人々を囲むように舞い落ちる。桜の牢屋に閉じ込められているように感じる。この出来事に、至るところから感嘆の声が漏れた。
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