ダミアと歌姫

アイズ

プロローグ

「おやすみなさい、お父様。」

「あぁ、おやすみ、シェリー。今日も彼の所に行くのかい。」

もちろん、と言ったふうにシェリーは頷く。

「じゃあこれを持って行きなさい。二人で食べるんだよ。あと、夜更かしし過ぎないようにな。」

父から小包を受け取るとシェリーは頭を下げて部屋を出た。長い廊下を小走りで歩いていく。窓から入ってくる光は僅かで、持っているランプだけが足元を照らしていた。突き当りから四番目、その扉の前で立ち止まり、コンコンとノックをする。

「こんばんは、ダミア。入ってもいい?」

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