第5話 新しいお友達

先生は教科書をめくり授業を始めた。


「それでは、授業を始めるぞ~教科書57ページ。拓斗~見せてやれ~」


「は~い!わかってま~す」


少し恥ずかしがりながら教科書を見せる。

フランは驚いた。本にこんなたくさんの文字が書かれていることに。


「これが教科書と言うものなの?」


 ――人族がこの文字をすらすらと読んでいるなんて……。しかもほとんどの人族が読めるなんて……。あっ!読めない人族もたまにはいるのね。


 ――このわたくしですら読めない文字もあるのに……。


ちらちらとフランと拓斗を見てくる女の子がいる。


 ――あの子何なの?さっき拓斗と登校していた子だ。


――キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン――


やったー昼めしだーと喜ぶ生徒たち。


「拓斗、食堂行こうぜ」


真也がさそってきた。

拓斗はフランもさそった。

3人で食堂にいった。

フランは言われるがままについていった。

中に入ると、左に長いカウンターその上に定食がズラリと並んでいる。

右には大きなテーブルに椅子が6脚のセットが12個ある。そして、窓際にずらっと

机があり椅子が12脚あるだろうか。

たくさんの人が昼食をとっているのだ。

やはりここでも拓斗と真也は注目をあびている。

女の子はみんな二人を見ているのだ。

そして男の子たちは初めてみる可愛いフランのことをみている。

三人とも注目の的です。

フランは、二人のまねをしてお盆を取り定食をのせテーブル席まで運んだ。

今日の定食は唐揚げ定食だ。

食べ物のいい匂いを感じながら聞いてみた。


「これも、食べるものなのですか?」


拓斗は不思議そうに首をかしげながらこたえた。


「そうだけど、これも食べたことないの?」


真也も不思議そうに首をかしげていた。


 ――これを、食べたことがない……?ん?


真也は何か怪しんでいる様子だ。

フランは、二人が食べたことを確認したあとに一口食べてみた。


「なんておいしいの。こんなおいしいものを食べているなんて」


「昨日食べた智美さんの食べ物もおいしかったけれど、これもおいしいわ」


「これはなんですの?」


フランが尋ねた。


「唐揚げ定食だよ」


拓斗が答えた。


「唐揚げってなんですか?」


フランがまた尋ねると、次は真也が答えた。


「鶏の肉だよ」


「うっ……」


――鶏のお肉……。残酷だわ。でもこれが弱い者のさだめなのですね。

  人間界すごい……命に感謝していただかなくては……。


フランは感謝しながら食べた。


――それにしてもおいしいわ。


真也がフランに話かけてきた。


「そういえば、フランってどこから引っ越してきたんだ?」


フランは答えにつかえてむせた。


「ん……ごほっ!」


拓斗がかわりにこたえた。


「海外って聞いてるけど……」


フランもつかさずこたえた。


「そうです。海外です。なのでここのことがよくわかりませんので教えてください」


「拓斗!真也!」


2人を呼ぶ、女の子の声がした。


「おう!優希!」


真也はこたえた。


「わたしも一緒にいい?」


「ああ、いいよ」


優希はフランの隣に座った。


「こんにちは、フラン。わたしも同じクラスなのよ」


「はい、授業のときに何度もわたくしの方をみていらっしゃったのでお顔は覚えています」


フランが言った。


「そんなに見てないよ……。気のせいだよ!」


恥ずかしそうに優希は言った。


「真也も半年まえに引っ越してきたばかりで、わたしたちが友達になってあげたんだよ」


「なってあげたってなんだよー優希」


「拓斗とわたしは幼馴染でずっと一緒なんだー」


優希はすこし意地悪に言った。


「そうなんですね。わたくしにも幼馴染はおります。とても大事ですわ」


フランは素直にこたえた。

優希は素直に答えるフランにイラッとした。


「フラン!わたしたちお友達になりましょ~」


フランはお友達ができたことにとても喜んでいる。


「はい!こちらこそお友達になってくださり、ありがとうございます」


拓斗はフランに女の子のお友達ができたことを素直に喜んでいた。


真也は優希が本当にお友達になろうとしているのかわからず、素直に喜べませんでした。


 ――これからどうなるのか不安でしかない……。


真也は思った。


「拓斗。お金というものは払わなくていいのですか?」


フランは確認してみた。


「フラン、ここの定食は学校の学費に含まれてるからその都度支払う必要はないんだよ」


「もう払ってあるということでいいのですね」


「そうだよ」


人間界では必ずお金でものを買う必要があるときいていたので、払わなくていいと聞いてフランは安心した。

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