こびと恋人探し
柚子桃しずく
第1話 王女フラン
これは、200年もの間待ち望んだ小人族の王女フランの話である。
小人族の王様と女王の間に、まさに200年ぶりに可愛い女の子が生まれました。
その名はフラン。
この200年もの間、王族では男の子はさずかるものの女の子はなかなか授かることができなかったようです。
これは王国にとって一大事。
盛大にお祝いパーティーをしたそうです。
町中の小人たちが、お城の中庭で料理を食べたりダンスをしたり、とにかくみんなでフランの誕生祝ったそう。
フランは、とても可愛がられ大事に育てられました。
お友達もできて元気に遊び、勉強し、そして、すくすくと育ち13歳になった日のことでした。
王様と女王からあることを告げられたのです。
それは、小人族に代々伝わる
【王女が生まれたとき、その子が13歳になる年『人間界』にて結婚相手をさがせ!】
ということでした。
よくわからないまま、お城の最上階北奥にある扉の前につれてこられたのです。
――ここは確か、誰にも開けることがでない扉のはず……。
フランは小さいときに何度もこの扉を開けようとしたのですが、開けようにも
鍵穴がなく、ノブを動かしても何をしても開かなかったのです。
――なぜ、ここに……。
「これをフランにさずけます」
王女から青く光るネックレスを渡された。
――これは、お母さまがいつも身に着けていたネックレスだわ。
フランは思った。
「フラン、そのネックレスを扉の紋章にかざしてごらんなさい」
王女はいった。
さっそくフランはペンダントを紋章にかざしてみた。
ピカッ!!
扉が開き、そこは階段になっていた。
「フラン!この階段は人間界とつながっているのです。これからフランは人間界に行き結婚相手を探してくるのです。それがこの王国を守ることになるのです。行ってそこの人族にお世話をしてもらいなさい。行けばわかります」
「さあ、行きなさい! フラン頑張るのですよ!」
王様と女王は涙ながらに送り出した。
わたしは、おそるおそる足を踏み入れ階段を5、6段のぼったところで
ぎーっ!と音がしたので振りかえると扉がゆっくりとしまっていった。
息をのみ気を強く持ち直し階段をのぼっていった。
のぼるごとになにか体に違和感をかんじていた。
――この感じはなんだろうか?
最上階段に到着した。
扉を開けると、そこは人間界だった!?
――ここはどこなの?何か狭い建物の中にいるけどここはどこ?
「えっ!まさか、この扉が本当に開く日がくるとは……」
とても驚く女の人。
「あなた様は小人族の王女様ですか?」
フランも人間界の人族に会うのは初めてだ。とても緊張している。
「はい。わたくしは、フランと申します」
女の人はこの家に伝わるある言葉を思い出していた。
【もしこの扉が開くとき、そこにいでしおなごがいたらそれは小人族の王女である。
この家で我が子のように育てよ】
「フラン様、わたしは智美(さとみ)そして主人の晃(あきら)です。
ご先祖様から代々言い伝えられてまいりました。
ですから、心配せずここで暮らしてください。わたしどもがお世話いたします」
フランは、少し安心した様子で
「ありがとう存じます。では、こちらでお世話になります。
さっそくですが、あなたたちのお城に案内してくださいますか?」
「……」
二人は顔を見合わせている。
「こ、こちらが我が家でございます」
「……」
フランは困ったようすで、
「こ、これは、失礼いたしました」
二人は2階の空き部屋に案内しました。
「こちらが、フラン様のお部屋になります」
フランは、二人に呼び捨てにするように命じた。
「フランと呼んでください」
二人は、うなずいた。
フランは部屋を見渡し
「これは何かしら?」
智美が答える。
「こちらがベッドになります」
フランは驚きながら、
「あらっ。これが人間界の体をお休めになるときに使うものなのね」
二人はフランが人間界のことを、何も知らないことに気づいた。
智美は丁寧に説明をした。
「こちらは机、勉強をするときに使います。そして本棚。本を収納する棚、
小説や漫画など収納します」
フランは、驚いた表情で本を手にとった。
「これが、本? 凄いっ! この質感! このにおい! こんなに物語が書いてあるの?」
「わたくしの国では、本というものがなく物語が書いてある木の板や葉っぱなどはあります。人間界がこれほどすごいとは……感激いたしました」
驚きを隠せないフランに、智美は姿見鏡を見せた。
フランは、姿見鏡を見てびっくり!!
「えっ、なんかちょっと大人になってない?」
フランは、階段を上がっているうちにすこしづつ体は大きくなり、少し大人になっていたのです。
二人は声を見合わせて言った。
「わたしたちが見たところ18歳高校生ってところですね」
「この世界では、高校に通わないといけませんので急いで手続きしてきますね」
フランは、高校生を知らない。
「高校生ってなに?」
智美はおそるおそる尋ねた。
「フラン?学校は知ってますか?」
フランは得意げに答えた。
「学校なら知ってるわ。わたくし通っていたから大丈夫よ」
みんなで肩をなでおろした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます