第6話 合コン

 合コンは6対6で、女の子は私立の文系女子大の子たちだった。みんなアイドルみたいな可愛い顔立ちをしていた。その女子大の子の一人が、山本と同じファミレスでバイトしてて、それで今回の合コンになったらしい。


 女の子たちは一つ年下の三年生で、二十歳になったばかりの子たちだった。山本以外、知り合いはなく、特に面白くなかったので、端の席で適当に相槌を打ちながら、会費分のメシと、酒を頂いていた。


 トイレから戻ってくると、僕の席は女の子が座っていた。困ったように見てると、「すみません、私の所座って下さい」と言われ、仕方なく飲み物を持ってテーブルの反対側に移動した。


「よろしくお願いします」

 隣の女の子に言われた。色白でくりくりとした大きな目までは好みだったけど、髪は残念ながら茶色かった。

 よく見ると目の色が青い。外人さんか?


「カラコンなんですよ」

 目が合うと女の子が言った。


「外人さんかと思った」

「佐々木さん、面白いですね」

 女の子がふふっと甘い声を立てて笑った。

 それから、酒を頼んでくれて、料理も追加してくれた。

 見た目はちょっと派手だけど気の利く子だ。


「私の名前、ちゃんと覚えてます?」

 最初にみんなで自己紹介をしたけど、全く覚えてない。


「なんだっけ?」

「あいりです。佐々木優介さん」

「あいりちゃんね。わかった。ちゃんと覚える」

「じゃあ、交換しましょう」

 テーブルの上のスマホをいきなり掴まれた。

「はい、これで完了」

勝手に連絡先を入れられたが、別にいいかと思う。

「優介さん、相談に乗ってくれます?」

 いきなり下の名前で呼ばれた。

「相談?」

「好きな人がいるんですけど、どうしたらいいかわからなくて」

「僕、そういうのはちょっと疎いから。山本は得意らしいよ」

「優介さんは彼女さんいるんですか?」

「いないよ」

「じゃあ、片思いの人は?」

 僕の事をのびちゃんと呼ぶ、彼女の事が浮かんだ。

「いないよ」

「間がありましたよ」

「いや、全然、だって全然年上だし」

「年上の人なんですか?」

「いや、そういんじゃなくて」

 じゃあ、どういうのなんだ?

 自分に突っ込みを入れる程、混乱した。急に食欲もなくなってくる。

 彼女の無防備な笑顔を思い出して、なぜか胸が締め付けられた。

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