第14話 初めての浮気

エルヴィーノの自作の魔道具で母親のリーゼロッテと手紙のやり取りをしている事をロザリーには教えていたし、リーゼロッテからの手紙は全て検査されている。


エルヴィーノが恥ずかしいからと読ませないでいると絶対に知らないはずの幼い時の事をたまに口にする。

腹が立って問いただしたら「だって貴方の事は全て知りたいの!」

満面の笑みで言われると、何も言い返せなくなる。

溜息をつき「じゃこれを"お前"に渡しておく」

最近は二人の時に”お前"とか"オイ”とかで呼んでいる。

もう1つ、ベッドでの呼び方もある。


小さな薄型の木箱を渡した。

中心に魔石がはめてある。

「こいつは特定の場所に手紙を送信受信できる。対象は俺の持っている魔導具だから受信すると魔石が少し光るから見てな」


エルヴィーノは用意してあった自分専用の木箱に手を当てて「送信」と言う。

するとロザリーの持つ木箱の魔石が光出す。

ロザリーが蓋を開けて中にある手紙を取り出すと、側によってきて「私もよ」と言い唇を重ねてきた。

手紙の内容は秘密だ。


ロザリーが王宮に行っていた時についでの買い物依頼や、エルヴィーノが兵士達と狩りに出掛けた時に収穫の連絡で重宝していたので、急遽家に通信室を作り出掛けた時にも連絡が取れるようにした。

携帯通信魔導具の元祖って感じだ。

魔導具の魔方陣は元からある物をエルヴィーノの一族が簡単に扱えるよう簡易化した物だ。

魔石は高いけど伯爵家で購入の際はロザリーに言えば直ぐ手に入る。

後は板に加工する訳だが・・・


ある日ナタリー達がテーブルクロスに刺繍を入れている所をみて「裁縫も出来るのですね?」と、わざとらしく訪ねたら過去に作成したものを皆持ち寄ってきた。

普通の服も作っているみたいで「こんなのも作れますか?」と尋ねる。

沢山の人と通信すると通信箱が嵩張るので布製で作りたいと考えていた。

布に魔方陣を書くので、所定の場所に刺繍で袋状にした状態で魔石を入れて、布に止め付けるようにしたいと。


するとナタリーが「可能です」と応えたので「では作ってもらえますか? まず、ロザリーと俺の。今使っている物は誰かに上げますよ」

そう伝えるとメイド達が「「「私が欲しいです!」」」と言って騒ぎ出した。

どうやら大変な事に成りそうだ。


メイド達からロザリーを語らせると「美の女神のような美しさで完璧な体型。麗しい声や穏やかな性格、長らく亡き夫の為に貞操を守り、その挙げ句には自らの夫を育てるなど神のごとき行い。もはや神です!女神様~!」的な。


(本当は無限色欲神だとも知らず、小娘達が・・・)と思っているエルヴィーノは小娘達よりも大分年下だ。

ま、それは置いといて「お古はナタリーに任せます」さっと揉め事を回避してエルヴィーノは立ち去る。


“夜の戦闘”は当分の間禁止なのでエルヴィーノの考えをロザリーに伝える。

100歳の時に王宮に働きに来て一度も母親であるリーゼロッテの元に帰って無い。

リーゼロッテとは手紙のやり取りをしているが子供も出来るし一度帰ってみたいと。

ロザリーは横に寝ながらエルヴィーノの顔を直視している。

エルヴィーノも直視している。

しばらく考え込むロザリーが口を開き、にこやかに条件を言い放つ。



「まず、毎日手紙を出す事」

「次に、毎月最低10日間は屋敷で私と居ること」

「次に、送り迎えは当家の者が行い、向こうでは決して1人では行動しない事」

「最後に、これは出産するまでで出産後は今まで通り実家には行けなくなるが理解する事」

「チョッと母親に合うだけだぜ?」とエルヴィーノが言うとロザリーが「あなたは私の命です」って言われちゃ~ハイハイって事で唇を重ねながら寝るのであった。




※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez




数日後。

屋敷には馬車が用意してあった。

(魔法の毛布の方が速いのに~)と思いながら、あれはまだ公にしてない魔導具だから仕方ない。


(別荘から実家まで馬車だと片道五時間かぁ長いなぁ、初回は我慢するけど2回目からは夜に魔法の毛布で行こうっと)

現地に着いたらお尻が痛いのを理由にロザリーに手紙で訴えて魔法の毛布にすると自分に硬く誓うエルヴィーノだった。


「気持ちを切り替えて出発だ!」

一行は御者とグンデリックとナタリーだ。

エルヴィーノは表には出られないので馬車の中でナタリーと一緒に揺られている。

馬車の中はロザリーとナタリーが見繕ってくれた結構な量のお土産が入っている。

ロザリーはリーゼロッテからの手紙で向こうの事は大体把握している。



【ここで重要な秘密を】

ロザリーはリーゼロッテからのエルヴィーノ宛の手紙を全て読んでいるが、エルヴィーノが出す手紙はエルヴィーノが教えなければロザリーには分からない事。

そう、エルヴィーノは初期の段階でこっそりリーゼロッテに手紙を送ってある。


内容は

リーゼロッテからの手紙は全て公爵家に見られる事。

だから余計な事は書かないで欲しいと。


またデイビットとオリビアの子、メルヴィの事は書かないでペットのウサギとして書いて欲しいと。

これはペットメルヴィがどう過ごしているか知りたいからだ。

最後にエルヴィーノからの手紙は全てその都度焼却して証拠を残さないで欲しい事。



そして今日帰る事も、昨日リーゼロッテに同行メンバーと目的を伝えてあるのでメルヴィは隠れているようにと手紙を送信してあった。


さすがに五時間も馬車に揺らされると退屈だった。

同行のグンデリックとナタリーは言うまでもないが御者はブリンクス公爵家に使えておりエルヴィーノがダークエルフで、秘密にされているダークエルフが住んでいる家に向かっている事も理解しているし他言無用な事も解っている。


暫くして鬱蒼とした木々に囲まれた獣道の先に家が見えてきた。

森の奥にたたずむ木こりの家みたいな感じだ。

家の前にはリーゼロッテとオリビアとデイビットが迎えに出て来ていた。


馬車は家の入口に横付けされてエルヴィーノが荷台から降りてリーゼロッテの前に立つ。

「只今戻りました母さん」

少し大人になって見えたのか涙ぐむリーゼロッテとオリビア。

デイビットも嬉しそうな顔だ。

リーゼロッテが久しぶりに見る息子の両手を持ち「元気でしたか?」

オリビアが「御立派になられて!」

デイビットが「少し背が伸びたな!」

家族が肩に手を添えて言って来るのでそれぞれ頷いて返す。


後ろにいたグンデリックに気付き紹介する。

「こちらがブリンクス公爵家のグンデリック騎士隊長です」

「ブリンクス公爵家に仕えするグンデリックと申します」と会釈する。

リーゼロッテから「エルヴィーノの母のリーゼロッテで御座います」と会釈する。

「メイド長のナタリーさんです」

「ブリンクス公爵家に仕えするメイド長のナタリーと申します」と会釈する。

同じく返すリーゼロッテ。

「御者のジューメさんです」

「私はブリンクス公爵家の兵士兼雑用係のジューメです」と会釈する。

同じく返すリーゼロッテ。


そしてエルヴィーノが改めて母親を紹介する。

「母さんです」少し恥ずかしい。

リーゼロッテは会釈をしてくれた。

続いて「デイビットです」

「リーゼロッテ様にお仕えするデイビットと申します」グンデリックが会釈で返す。

更に「オリビアです」

「リーゼロッテ様にお仕えするオリビアと申します」ナタリーが会釈で返す。


一通り挨拶を終え持ってきた荷物を何処に下ろすかとグンデリックに問われリーゼロッテの方を見ると「ではリビングに」と言われ全員で運び直ぐに終わった。


グンデリックとナタリーからリーゼロッテに話しがあると告げると、そのままリビングに行きソファに腰かける。


ジューメは席を外し馬車に戻る。

エルヴィーノも事前にナタリーから打ち合わせしてあったのでデイビットと一緒に彼の自室へ行く。

オリビアはメイド長が来ているのか少し緊張している様子。

紅茶と手作りビスケットをそれぞれの前に置き自室へ戻る。



ナタリーは音声阻害魔法を辺りにかけ話し出す。

「主人であるロザリー様はダークエルフの味方です」

リーゼロッテは驚いた様子だった。

「エルヴィーノさんを愛しており、子供を授りました」

更に大きく驚いた。

今は安静の時期なのでロザリーは訪問出来ない事を申し訳なく思い、自分が産まれた時から支えている二人にお詫びと伝言を話す事と手土産を持たせた事をリーゼロッテに告げる。



そして、音声阻害魔法まで使った理由が最大級の爆弾発言が何発もリーゼロッテに襲いかかる。



エルヴィーノから求婚がありロザリーが受け入れ、エルヴィーノが成人したら皆でお祝いしたいと。

そして、産まれてくる子がダークエルフだった場合にはこちらで育てて欲しい事を説明し、リーゼロッテは驚きながらも頷いた。


「産まれて来る子が、もしもエルフであればブリンクス王と交渉して王の子とし、次世代の王にさせること」

これにリーゼロッテは一番驚いた。


その場合、表向きにはロザリーが王の子を産んだ事するが、ロザリーは公爵のままで現状と変わらぬ生活をエルヴィーノと過ごす約束をブリンクス王に突き付けると。

他にも公爵家がダークエルフの面倒を見て、支援と優遇処置を約束させる事など。

そして「王との交渉などは、まだエルヴィーノ様には話していないので秘密にして頂きたい」と。



次はリーゼロッテからの質問だ。

「皆さんはエルヴィーノがブリンクス王の子だと思われているようですが、何か証拠でもありますか?」


グンデリックとナタリーがニヤリと笑いロザリーからの伝言を告げる。

「ロザリー様は、まず王宮に頭巾をかぶる召し使いの不自然さ。王宮で働く者は例外無くブリンクス王の面前で許可が必要。最後に彼はダークエルフには使えない神聖魔法が使え、王が着けた特別な首輪を彼自信が脱着出来る。以上の事でエルヴィーノ様がブリンクス王とリーゼロッテ様の子である事を確信しておりました」


リーゼロッテが問いただす。

「あなた達の目的は何ですか?」

その問いにナタリーが答えた。

「ロザリー様は純粋にエルヴィーノ様を愛していらっしゃいます」

それを聞いてリーゼロッテが愚痴を言う。

「もう、あの子は王宮でいったい何をしていたのだか・・・」


あきれた顔のリーゼロッテに更なる爆弾発言が追い討ちをかける。

言われっぱなしのリーゼロッテにナタリーから最終兵器が導入された。

「ロザリー様は今や同じ立場であるカリン・デ・モンドリアン様を崇拝していらっしゃいます」と。


リーゼロッテは意味が分からなかった。

カリンはリーゼロッテの実母だ。

エルフの世界では先の戦争はエルフに都合良く書き替えられていた事を、ロザリーは知らないはずだとリーゼロッテは思っていたが、グンデリックが真相を教えていたのだった。

そしてロザリーは戦争の内容よりも、誰も知らないカリンのダークエルフの地での生活に興味あった。


「ロザリー様はカリン様が自分と同じ想いでいたのでは無いか?愛する人の為に全てを捧げたのではないか?と考えていらっしゃいます。そしてダークエルフ側の戦争の話しを聞きたい。特にカリン様の事を知りたいと仰られております」と告げた。


「ロザリー様がリーゼロッテ様に一度ゆっくりとお話ししたいと望んでおられます」

グンデリックが最後に告げるとリーゼロッテは興味深く聞き入れて頷いた。


「これらの内容は主のロザリー様と我ら二人とリーゼロッテ様だけが知る内容です。くれぐれも内密にして下さい」

自分達は既に共犯者であると理解したリーゼロッテだ。

そしてエルヴイーノが知らないのは今更だった。


一方的に告げると帰りの時間を考えてグンデリックが告げる。

「では、そろそろ時間なので御暇おいとまさせて頂きます」

帰りはリーゼロッテだけの見送りだった。



長く馬車に揺られる間、転移魔法陣の事をナタリーとグンデリックに話し次回からは簡単に転移出来るから便利だと力説したエルヴィーノだった。

実は公爵家の中に転位魔方陣の部屋を新しく作ってあるからで、あとはダークエルフの家に転位魔方陣を作れば良いだけである。

事前にリーゼロッテには手紙で伝えてあり、エルヴィーノはデイビットと魔方陣の小屋を新しく作ると提案しデイビットは頷いてくれた。


見送ったリーゼロッテがデイビット達の部屋にノックしてきた。

「はい」と上機嫌で出ると「エルヴィーノ!こっちに来なさい!」母さんはプンプンだった。

確かに思いあたる事がある。

ロザリーが妊娠した事は手紙に書いて無かった。


100歳まで母さんと過ごした懐かしい部屋に入ったとたん説教が始まった。

「どう言う事か説明しなさい!」

「えぇっ何の事?」

「妊娠の事です!」

(ヤッパリ)予感的中だったので子供っぽく答えた。

「だって母さんに言うの恥ずかしいし・・・」

過去コレほどまで怒った表情を見たことの無かったエルヴィーノはちょっと怖かった。

しばらく説教されたが、それでも仕方ない・・・みたいな顔の母さんが「コレからは何でも必ず手紙に書きなさい」と言われ頷く。



(時間は少し戻り)

デイビットの部屋でデイビット、オリビア、エルヴィーノは話していた。

ひそひそ声で話す三人だ。


「メルヴィはどこ?」

「畑の小屋にペットのウサギと居るわ」

「へー、ウサギを飼育しているの?」

「お前がそうしろと手紙に書いたのだろう?」


(ま、そうだけど)ちょっと意味が違ったので説明した。

エルヴィーノはダークエルフが増えていけばエルフの脅威と思われると考え、メルヴィを隠したいと考えた。

だけどメルヴィの事も知りたいので名前をウサギとして手紙に書いて欲しいと母さんに頼んだ。

母さんの手紙は監視されていたと告げる。

理解したと二人供うなずく。

王宮の事やメルヴィの事を話し盛り上がった所にノックがあった。

母さんだった。

なんか怒っている?




※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez




母さんと約束しグンデリック達が帰った事を聞くと、エルヴィーノは畑の小屋に走った。

小屋の前で叫ぶ。

「メルヴィいるか?俺だ!エルヴィーノだ。入るぞ?」


中から「エル!?」と声がした。

中にはウサギが数羽とメルヴィがいた「エル!会いたかった!」と抱きついてきた。

成長したメルヴィは凄く可愛くなっていた。

前髪をたらし、後頭部にまとめた黒髪が似合っていた。

100歳となれば、体つきもずいぶん女の子らしくなっていて、メルヴィはオリビア似で巨乳予備軍だった。

まだ小振りだが、ずいぶんと主張してエルヴィーノに押し付けてくる。


一体どう言う教育をしているのか、困ったものだと考えていると、エルヴィーノの分身が蠢きだす。

一瞬でマズイと思いメルヴィの肩をつかんで引き剥がす。

「俺も会いたかったよ!ずいぶん見ない間に綺麗になったね、メルヴィ!」



ロザリーから女性を褒め讃える教育を受けているエルヴィーノは、初っぱなからメルヴィを褒めた。

顔を赤らめて照れるメルヴィ。

「そんな事無いよ・・・エルだって大きくなったね」

一瞬ドキッとする。

(あの一瞬で、もう一人の俺に気が付いたのか?)

そんな事は無いと否定し一緒に家に帰る。

帰る途中聞いてみた。

「俺の事はエルになったのか?」

「ウン!だって可愛いでしょ!同じ名前のウサギも居るんだよ!」

メルヴィが嬉しそうに話す。

「私の言う事全然聞かないの!大食いだしさ」

話ながら帰宅する2人。


王宮に奉公に出てから約30年ぶりで家族と夕食。

久しぶりのリーゼロッテとオリビアの手作り料理。

エルヴィーノは出された物を全部平らげた。

食後に全員でいろんな話をした。

エルヴィーノが居なかった約30年の間。


話も一段落しそろそろ寝ようとそれぞれの部屋に移動して気づいた。

「そっか、ベッドは1つしかないんだった」

それを聞いてリーゼロッテが嫌味を言う。

「あら私と寝るのが嫌なの?それともロザリーさんじゃないと眠れないのかしら?」

(いやいやどっちもいろんな意味で違うけど)と思いながら、先に入ったリーゼロッテに手招きされる。


しぶしぶ布団に入ると昔の様にリーゼロッテの胸の辺りに顔が!けして小さくないリーゼロッテの胸。

赤ちゃんの頃はお世話になっていただろう。

(記憶は無いけど・・・)

ロザリーと比べると多少小さいがそれでも自慢できる大きさは有ると今は思えた。

甘い香りと顔に押し付けられる胸のせいで、もう一人の自分に血液が流れ込むのを感じた。

(ヤバイ!!)

エルヴィーノはすぐに体勢を反転させリーゼロッテに背を向けた。


リーゼロッテが優しく語りかけて来た。

「そのままで聞いて。明日朝食をとった後、メルヴィとふたりで山の奥にある休憩小屋があるわよね?あそこに行って暫くの間メルヴィと子作りしなさい!」

「はぁ~?」

エルヴィーノはビックリして変な声を出した。


続けてリーゼロッテが言う。

「メルヴィはダークエルフです」

「知ってるよ!」

「メルヴィの相手はエルヴィーノ、あなたしかいないのよ!」

エルヴィーノは理解した。

男のダークエルフはデイビットと俺しか存在しない。

「これはあなた以外の四人が決めた事です!」


またもや本人の承諾無しに進んだ話だ。

「えっ~と母さん?その事だけどメルヴィは理解しているの?」

「勿論です」

「デイビットやオリビアも?」

「当たり前です!」

エルヴィーノは一族の存亡と思い答えた。

「わかったよ・・・」

リーゼロッテは背中から抱きしめてくれた。


翌朝の食事はあまり喉を通らなかった。

親達は普通だったがエルヴィーノとメルヴィは余り喋らず食事を終えた。

オリビアは朝早くから用意していた弁当や荷物をエルヴィーノとメルヴィに渡し、メルヴィに「頑張れ!」と応援していた。

家を出るときオリビアが涙ぐみ、隣で横向きだが頬を伝う雫の後が輝いて見えるデイビット。

対照的なリーゼロッテは笑顔で手を振っていた。


エルヴィーノはメルヴィの手をしっかりと握りしめ歩いていた。

ふとメルヴィの気持ちを知りたくて聞いてみた。

「メルヴィ?」

「なぁに?」

「俺の事どう思っているんだ?」

「好きよ!」

間髪いれずに答えてきた。

「私は小さい時から両親に大きくなったらエルのお嫁さんになって沢山子供を作って役にたちなさいって言われてきたの!だからじゃ無いけど、二人で魔法の修行をしたり、秘密を持ったりした頃かな?どんどん好きになっていったのが分かっていたの」


そうかと思いながらあの頃は可愛いい妹としか思ってなかった事を思い出す。

「そして、エルが王宮に奉公に出ると聞かされた時、私は凄いショックでね布団にくるまって沢山泣いたのよ!」

エルヴィーノは何も知らなかったと言うよりも、妹がそんなに自分の事を思っていたとは知らなかった。

「ゴメンよ」と頭を撫でながら山を登って行った。


二時間ほど歩いたら休憩小屋の場合に着いた。

外は小屋の周りに木材が沢山積んであり、小屋は見えなくしてあった。

エルヴィーノはそこに認識阻害の魔法と結界の魔法をかけた。

小屋の中は小綺麗にされてベッドに布団に枕、タオルとか保存食などが整理されてあった。

メルヴィが「この小屋は両親が私を作るために作った小屋なんだって!」

(おいおいそんな事を娘に言うのか、お二人さん!)


荷物を片付け、二人でベッドに座っているとメルヴィが「用意するね」と言って立ち上がる。

小屋の中は仕切りの奥にベッド。

入口側に調理台と大きなタライがある。

魔法でタライに水をはり温める。

エルヴィーノはてっきり夜に始めるものだと思っていたが、両親になんと教えられたのかメルヴィが準備を初めて、仕方なく部屋中に温度調節の魔法をかける。

カーテンを締め魔法の明かりをつけて光度調節する。


エルヴィーノはあの時の事を思い出していた。

(何も分からず成すがままだった初体験の時、ロザリーは大分痛がっていたよなぁ。クラール治癒魔法を何度も使っていたし・・・出血もあったなぁ)

エルヴィーノはあの日を思いだしタオルを数枚ベッドの上に敷いた。


雰囲気が出てきたらメルヴィがタオル1枚巻いてベッドに腰かけた。

「じゃ俺も」と服を脱ぎタライの中へ魔法で汗や汚れを取り、お湯で身体を拭いた。

そして(今日は頑張れよ!) と自らの相棒を綺麗に拭いてやる。

まだ相棒は解っていないのか、半分しか血液が流れていなかった。

(大丈夫かな・・・妹と思っていたからな~反応が・・・誤動作してるようだ・・・)


身体を洗いベッドの横に立とメルヴィはすでにベッドの中にいた。

エルヴィーノはタオルを腰に巻いたままベッドの中へ入る。

布団をめくった時にメルヴィの白い肌と思っていた以上に大きな双丘に驚いた。

張りの有る双丘がそそり立っていて凄い。

まだ子供だから痩せているからか? 双丘がデカスギル!ロザリーの少女版みたいな感じだ。


エルヴィーノはメルヴィの首に腕を回し、顔を近づけメルヴィに告げる。

「メルヴィお前は今日から俺の女になる。心も身体も一生だ!!」

するとメルヴィが考えていた言葉を口にした。

「不束者ですが一生添い遂げますので宜しくお願い申し上げます」

ゆっくりと抱きしめるように唇を重ねた。


そして、メルヴィの唇の奥に自らの舌を入れるとメルヴィが「ウゥッ」と声に鳴らない声を漏らしメルヴィの舌が自分の口の中に入ってきた。

そして、エルヴィーノを力強く抱き締めて荒々しく舌を動かし腰をグイグイ押し当ててくる。


まるで、あの時の再現のようだった・・・







唇を重ねメルヴィを押し倒そうとした時に警告音が鳴った。

「ぐるぐるぐるぐる~~!!」

エルヴィーノのお腹が鳴り出した。

それを聞いてメルヴィは吹き出して笑い始めた。

「もう、お昼も大分過ぎたよね?」

「そうだなメルヴィが夢中になってたからなぁ」

「お兄ちゃんのせいだよ!」

「メルヴィが可愛くてさ」

顔を赤らめ黙り込むメルヴィに問いかける。

「弁当食べようか?」

「ウン!」


元気良くうなづくメルヴィが弁当を広げる。

母娘が作ってくれた弁当を「私が食べさせてあげるね」と微笑ましく仕切りだすメルヴィにやれやれと思いながら言われる通りにする。


メルヴィはエルヴィーノと離れていた30年を取り戻そうと必至だった。

ダークエルフの親同士は2人を結婚させたがっていたが、エルヴィーノはすでに魔性の女に捕まり子供まで出来ている。

メルヴィはエルヴィーノを取り戻そうと何でもエルヴィーノの言う事を聞いた。

と、言っても布団の中の事だけしかエルヴィーノはメルヴィに無茶は言わない。


そして、その夜も、次の日の朝、昼、晩と何度も何度も二人は求め合った。

エルヴィーノが130歳でメルヴィが丁度100歳を迎えた記念すべき春先の事であった。





現在本人に浮気の自覚は有りません。

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