第13話 ロザリーご懐妊
エルヴィーノが100歳から王宮に行って約30年後。
ついにその時を迎えようとしていた。
エルヴィーノが129歳の終わり頃、屋敷の中が少しずつ慌ただしくなる。
妙にソワソワとナタリーやグンデリックがエルヴィーノを避けているような気がする。
数日後、エルヴィーノ、ナタリー、グンデリックと主要人物がリビングに集まり、ロザリーから重大な発表があると告げられた。
「皆さん昨日お医者様に診て貰いました」
エルヴィーノは何か病気でもなったと思い嫌な顔しながら回りを観るとナタリーもグンデリックも緊張の面もちでロザリーの言葉を聞いていた。
「今は2ヶ月位だと言われました」
回りの者が喜び叫ぶ。
「やった~!おめでとうございますロザリー様」
「これからの対策を練らねば」
エルヴィーノは1人椅子に座りポカンとしていると、ロザリーが近いてきて「あなたの子供を授かりました」と告げる。
エルヴィーノは立ち上がり言葉よりも先に勝手に涙が流れてきた。
そしてロザリーを抱きしめる。
最近は疲れているとか、もう眠いとか、何かしらにつけてエルヴィーノを拒んでいたので、いろんな事を考えて涙した夜もあったエルヴィーノだった。
そんな時ロザリーは「大丈夫よ。チョツト疲れているだけだから。この二ヶ月ほど我慢してね」と言ってなだめられていたのだ。
感喜の時間は終わり、今後の予定を話し出す。
まず、王宮への仕事はグンデリックに出てもらう。
ロザリーは体調がすぐれないと伝える。
内外の事はグンデリックとナタリーに任せて、エルヴィーノは約1年間ロザリーとの営みを禁止された。
至極当然だがエルヴィーノは産まれてくる子供の為にオモチャを作りたいと告げ自室に戻った。
残った3人は密かな会議を始める。
「問題は産まれてくる子がどちらかですが・・・」
「そうね」
「出来れば男の子が良いけど、女の子でも構いません」
「エルフであれば良いのですが」
「ではもしもダークエルフの場合は密かに育てるしかありません。もしくは向こうの母親に預けるか」
「そうですね、お互いの為にその方が良いと思われます」
「では、エルフの場合は計画通りにブリンクス王と全員で交渉します」
ロザリーの考えは次の通りである。
ブリンクス王にエルヴィーノの報告をしたいと告げる。
エルヴィーノの全てを受け入れ現在一緒に生活をしている事。
そして離れられない関係である事も。
そこで本人の登場。
人払いをお願いし、頭巾を取って親子の対面をする。
(ただしエルヴィーノは会った記憶が無い)。
そして二人の関係を許してもらう。
もしも反対されたならば、控えているナタリーが産まれたばかりの子を連れてくればブリンクス王も反応するだろう。
ブリンクス王の子供は全て戦争で亡くし、孫にあたる子を悪いようにはしないはずと想定する。
そこまで行けば後はロザリーの要求である。
産まれた子共の親をブリンクス王と偽る。
ロザリーの立場は現状のまま、エルヴィーノの事を不問にする。
この3つである。
詳しくは1つ目
ブリンクス王の直系の孫に当たる子をブリンクス王の子と偽ってもそれほど問題ではない。
問題はブリンクス王の本当の子がダークエルフである事。
それは絶対に秘密にする事を誓う。
2つ目
ロザリーの立場だが、元々
世継ぎを産むもブリンクス王の息子の嫁なので、身を引き表には出ない。
地位もそのままだが王には後ろ楯になってもらう設定だ。
3つ目
エルヴィーノと他のダークエルフの事。
エルヴィーノに限っては今まで通り、ロザリーの別荘で暮らす。
他のダークエルフはブリンクス王とロザリーで管理する。
これは愛する男の母親に対する気遣いと、ブリンクス王とダークエルフの橋となるための提案である。
ロザリーには母と家族の存在は既に話してあったからだ。
これらの見返りとして、地位の安定、資金の提供、様々な懸案に対しての優遇処置と、これらの事を証拠として残して欲しいと。
当然そうなれば如何なる場合でも、我が一族は王の味方をすると。
「どうかしら?」とロザリーが二人に問いただす。
「流石はロザリー様。その方向で問題無いと存じます」3人は悪い微笑みで頷くのであった。
ロザリーのご懐妊告知後、グンデリックに連絡が入る。
ダークエルフの住みかが分かったと。
☆
30年の性奴隷生活の成果です。
「違うわ!!私達は愛し合っていたの!!」
ロザリーの言い分。
(まぁ良いけどね・・・)
口には出さないエルヴィーノはある意味大人だった。
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