が嫌い。

@yaminabe4

あなたが嫌いです。


電話中の声が嫌いです

寝ている時のいびきがきらいです

たまにするくしゃみやせきが嫌いです


僕はまだ子供です


だから大人の大変さは分かりません

説明されても分かりません

つらいと言われても僕にはなにもできません


ごめんなさい


受験に失敗しました

冷たく当たってしまいました

それでもまだ愛してくれています


でも辛いんです


その大きな声はまるで自分が怒鳴られているようです

僕らもあなたと同じように疲れているんです

死ねと言われても、じゃあどうすればいいんですか


みんなあなたを


いつからか母はあなたといると辛そうです

妹はあなたに話しかけられると不機嫌になります

弟はうんざりしています


どうすればよかったんですか


僕がもっと兄弟に優しく接してあげればよかった

そうすれば彼らはもっと他人と向き合えるだけの余裕が生まれたはずです

僕がうまく立ち回ればよかった

僕はあまりにも非経験者で、だからあなた方の喧嘩をどう収めればいいのか分かりませんでした

だから耳を塞ぎました


母は泣いていました


あなたと喧嘩をした時

電話で、誰かと話していた時

僕と兄弟たちに離婚を打ち明けた時


あなたを嫌いになんてなりたくなかった


あなたは頼れるでした

いると安心するでした

僕達が大好きなでした


もう無理なんです


戻れればいいと思っていました

いつか必ず戻れると思っていました

まだあなたと母の仲が良かった頃に

僕があなたをまだ大好きだった頃に

あなたがタバコを吸い始める前に

初めてあなたが僕らに悪態をつく前に


ごめんなさい


でももう無理なんです

あなたといると息が詰まる

言いたいことが溢れてきて喉を締める


ごめんなさい


あなたがいると雨の中でしか泣けないんです

あなたがいるとソファの上でしか眠れないんです

あなたといるとあなたを嫌いになるしかないんです

だから


さようなら


またあなたと暮らすことが僕の夢になるでしょう

夢ならば、もう一生叶わなくても仕方がない

だから、もう二度と会うことは無いと思います

それでは

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

が嫌い。 @yaminabe4

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る