救済のメシア
夢乃間
0章 混沌
第0話 平和は終わる
アース。この世界に生きる者達は自分達の星をそう呼ぶ。アースには人間の他にも、多様な種族が存在しており、その中でも【人間】【エルフ】【ドラゴン】の三つの種族がアースの世界を統治しており、共に助け合いながら生きていた。
だが、そんな平和な世界は唐突に終わりを告げた。ある日、空から巨大な石碑が降り立った。石碑には人間の言葉・エルフの言葉・ドラゴンの言葉の三つの言語がバラバラで書かれており、それを解明する為に各種族の代表者が集まり、石碑に書かれていた言葉を解明した。
【この世界に種族は一つでいい。これは神の警告だ。】
石碑にはそう書かれてあった。【神】という聞いた事も無い種族に全員が困惑していると、空に浮かぶ雲が割れ、そこから眩い光が石碑の前に集まっていた各種族の代表者達に落ち、光が消えるとそこに彼らの姿は無く、石碑だけが超然と佇んでいた。
この光景を見たそれぞれの種族は自身の国に戻り、そこで起きた真実を伝える。それを聞いた人間は【神という超越した存在】を恐れ、エルフは【神という絶対的な存在】として崇め、ドラゴンは【神という未知の強敵】として昂った。
それぞれが神という存在を認めつつ、別々の認識で捉えてしまった事から徐々にすれ違いが起き、やがて戦争へと発展する。
戦争は熾烈を極め、多くの犠牲者が出るも、終戦という選択など誰も考えはしなかった。ここで戦争を止めてしまえば、自分達の国へ神が罰を下すと思っていたからだ。
そして、それは現実のものとなった。人間の国の若い王女が突然死した。原因は不明、そして不可思議なのは、王女の背中には見た事もない紋章が刻まれていた。
人間達は神が起こした罰だと思い込み、神に印を付けられた王女の遺体を海に流してしまう。
人間達は悲しみに暮れるが、王女の身に起きた事が他の種族にも起きていた。エルフは王子を失い、ドラゴンは戦の英雄を失い、そのどれもが紋章を身に刻まれていた。
そして、彼らは死から目覚めた。ただ目覚めただけでなく、その身には恐ろしい力が宿り、急展開を迎えた戦に人間達は追い込まれ、エルフとドラゴンの一騎打ちとなった。
圧倒的に力不足となった人間達。幸いにもエルフとドラゴンは人間達を襲う事はなく、一時の休息に人間達は王女の死を慎み、同時に激しい後悔と怒りが込み上がってくる。
あの時、王女の遺体を海に捨てなければ自分達も戦に加われた・・・と。
終わらぬ戦争。
神という驚異。
悲しみと憎悪が渦巻く混沌の世界。
「この世界に、救いなど無い。」
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