第11話

3戦3敗。一言でいえば完敗。

まさかここまでの強敵だとは、予想だにしていなかった。

……ギャル、恐るべし。


「う~ん、美味しいぃ~♪」


そんな俺の心境なんてつゆ知らず、向かった先の牛丼チェーン店でつゆだくの牛丼を美味しそうに頬張る佐奈ちゃん。どうやら牛丼にはこだわりがあるらしく、さっきまでベラベラと説明していたが、よく分からん。

とりあえずつゆだくの牛丼が好きな事だけはよく分かった。


ムシャムシャ食べる姿を見ていると。


「……共食いかな」

「何か言いました?」


おおっと、危ない危ない。

思わず心の声が漏れてしまった。


「しかしよく食べるねぇ~」

「ええ? そうですか?」

「だってそれ大盛りだろ?」

「これくらい普通ですよ。今どきのJKは大盛りがトレンドなんですよ♪」


嘘つけ。


ただ昼飯でこれだけ食べているって事は夕飯もそれなりに食べているのだろう。

それでこのプロポーションというのは驚異的だ。

栄養は全部胸にいっているのだろうか。


その後もムシャムシャと頬張る佐奈ちゃん。

およそ10分後にお椀の中身を見事に平らげる。


「ふぅ……ごちそうさまです。初めて外で牛丼食べましたけど、美味しいですね!」

「そう、なら良かった」


ちなみに俺は安定のチーズ牛丼並盛りだ。

やっぱ美味しい。メガネの俺と相性はバッチリ。


「次、どうしますお兄さん?」


俺はぶっちゃけ帰りたい。


しかし、流石にここで解散は人として失礼すぎる。

食べながらギャルが嫌がりそうな所はないかと考えたりしたが、この子の場合はなんかどこ行きたいって言っても肯定してきそうで、正直怖い。

全肯定ギャルなんて聞いた事がない。


「ウチはどこでもいいですよ」

「う~ん、そうだなぁ」


……とは思いつつも、一つアテはある。


それは『オタク』だ。


どうせギャルはアニメ・ゲームといったオタクが嫌いだろう(偏見)。

幸いにしてオタク共が群がる魅惑のショップが近くにはある。


また電車に乗ることにはなるが、電車に乗ってまでも行きたいの……。(ドン引き)

となれば、より一層効果的た。


……やるしかない。


嫌われ作戦 その4.オタク丸出し作戦の決行だ……!

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