【新解釈】Precure by Yuzuki

@RRENN

第1話 科学を超越する力

 ハレバレ市にある中高一貫の女子校「ハレバレ女学校」に通う一人の女子中学生、米多めぐみ(めためぐみ)はその名前と真面目な性格から、クラスの内外、学年問わずいじめの対象とされていた。放課後にはほぼ毎日上級生などに呼び出され、鬱憤晴らしの道具として使われる。


 ある日、廊下で上級生にすれ違いざまに蹴られ、それを見た周りの人たちは笑い声を上げた。その時彼女は上級生を軽蔑するような目つきをしながら、こう言った。「あなた達には常識はないの?」その上級生は、自信に溢れた顔でこのような言葉を口にした。


 「常識は力ある者が作るもの。今、この中で力があるのは私。私が常識よ。」


 あの解き放たれた上級生の言葉は今でも忘れない。頭の中のどこかで常にその言葉を思い浮かべる。常識は力ある者が作る…


 あの出来事から何日も経った頃、通学中に突然、一人の少年が悲鳴を上げて彼女と逆向きの方向に必死に走っていった。まるで何かにおびえて逃げるかのように…その数秒後、大勢の人がその少年と同じ向きに悲鳴を上げながら押し寄せてきた。彼女は人並みに飲まれ、通学どころではなかった。しかし、彼女は遅刻したくない一心に(彼女は現時点入学以来一度も遅刻や欠席をしてこなかったので、この調子で無遅刻無欠席で卒業することを狙っていた)何とか踏ん張り、人波を抜けると目の前には巨大な生物がお目見えした。


 すると空から降ってきた小さな生物が彼女の頭にぶつかった。その生物は彼女に疑問を投げかけた「なぜ君は逃げないんだい?」彼女はすぐに答えた「えっ、だって、私はただ通学していた途中だった。それだけよ…今にでも逃げる気でいるわ。人波を抜けたらいつの間にかこうなっていたの。今思えば、あの人波と共にあちらへ走るべきだったわ。でも、学校は休校ではないだろうし、私は行かなければならない。あなたと話している暇はないわ。安全なところに避難したらすぐにでも遅刻の連絡を学校に入れる。もう、無遅刻無欠席は無理だとわかったから…」その生物はその言葉を聞くと、目を見開きながら嬉しそうにこういった。


 「君だ!君でいいんだ!やっと見つかった!なぁ、君にいいことを教えてあげよう。もし君が学校に遅刻の連絡を入れたところで、この巨大怪物体がいる限りは道を使えないし、遅刻どころか学校にも行けないだろう。それを遅刻で済ませる方法がある、とりあえず今は安全な所へ避難しよう。奴の目に入らないところへ。話はそれからだ!」


 彼女はうなずいて、人波が逃げて行った方向へ走った。そして、二つ目の角を曲がると、そこにある公園の小さな山に彫られているトンネルへ身を隠し、手首を返して掌が顔に向くような向きへ変えると、その手首からは腕を添うように縦長の半透明の仮想画面が現れ、彼女はその仮想画面に指を触れるように操作した。そして通話アプリを開き、学校の連絡アドレスを入力し、授業に遅刻する旨を学校の担任に知らせるメールを送信した。彼女の隣で浮いている小さな生物はそのメールの送信が完了したことを確認すると、彼女に話した「さぁ、話を戻そう。この道を使えるようにし、欠席ではなく遅刻で済ませる方法をを教える。今から僕は君に非科学的で、君たちの科学を超越した力を与えよう。君はその力を使ってあの巨大回物体を倒せばいい。大丈夫、あれだけの人波に逆らう力と勇気があるんだ。今から与えるこの力を使ってあの怪物を倒すことなんて、君には造作もないだろう。僕らの世界で伝説として伝えられている戦士『プリキュア』になってくれないか?まぁ、質問するまでもないな。もう後戻りはできない、君はもう学校に遅刻と連絡したからね。欠席に変更だなんて、こんな状況でも欠席と連絡せず、遅刻と連絡を入れるほどに出席に対してのこだわりが強く、真面目な君にはできまい。さぁ、これを耳につけて!」その生物は彼女に耳掛け式の片耳ヘッドセットのようなデバイスを手渡した。彼女はそれを受け取り「もう、後戻りはできないね、やるしかないんでしょ?私、死なないわよね…命の保証ができるなら、私はやるわ。まぁ、そうじゃなくてもやるしかないんだろうけど。」と言って耳にそれを装着した。装着したのを確認すると彼は彼女に指示を出した「そしたら拳を天に突き上げて、『プリキュア、セットアップ!』と声を上げるんだ。すると、そのデバイスにインストールされているプリキュアが起動する。」「わかった。」彼女は返事をしたのち、拳を突き上げて声を上げた「プリキュア、セットアップ!」すると彼女のショートボブスタイルの髪はピンク色に変色し、その色と同じ色の細い髪の束が後頭部の左右に1本づつ中に浮かび、まるでツインテールのようになった。目も髪の毛と同色に瞳が変色。服は制引く姿からとても動きやすそうな恰好へ変わり、両肩と両足の付け根から1つづつ平行四辺形の板が現れた。それを見た彼は彼女に伝えた「君の名はこの姿の間はキュア/(スラッシュ)だ!決して本名を出すなよ。君の本名は僕も知らないし、何しろ、キュア/が君であることを知られたら、それこそ君の命が危ないし、社会的地位においても危険に立たされる可能性がある。僕は君の身元をばらさないように、君の個人情報は追跡しないから安心して。とにかく、キュア/が君であることが誰にも知られないように。いいね!君は今、君の世界の科学を超越した力を持っている。一応少しだけ君の世界について予習したから知っているけど、君たちの世界では君たちの化学を超越し、君たちの化学で証明できない非科学的な力を魔法と呼ぶみたいだね。君はその力の使い手だ。どんな科学も君の力にはかなわない。そのことを忘れないように。わかったな、キュア/!」キュア/は肯定の意味の二つ返事をしてすぐにその巨大怪物体へ向かっていった。両肩と両足の付け根についた平行四辺形から、後ろ向きに力が放出され、彼女はその反作用でとんでもないスピードを出して移動した。彼女は自分の移動速度の速さに驚くあまり、足を止めてしまった。すると今度は平行四辺形が移動し、彼女の前方に力を放出したことで、これだけのスピードで移動しておきながら、彼女は何事もなかったかのように一瞬で止まった。制動距離なんてなかった。その平行四辺形は彼女の意志に合わせて、彼女の行動をサポートするかのように賢く動くでの、特に使い方や役割の説明を受けなくても、全然扱うことができた。彼女はもはやこの平行四辺形の存在を意識しなくていいのである。もう一度加速し、移動したのち、巨大怪物体の前に立ち止まった彼女は焦りながら早口で彼に問いを投げかけた「武器はどこ?やつを倒すにはどうしたらいい?」彼はすぐに返事をした「その後頭部の左右に浮いている長い髪の毛のようなものが武器だ。手前にそれを持っていくと、非科学的な力によって変形する。右はマジカル/(スラッシュ)ソードという剣に、左はマジカル/(スラッシュ)ライフルという銃になる!状況によって使い分けてくれ。首を切り落とすか、やつの耐久度を超えるダメージを与えれば、奴は消滅する。」「わかった!」彼女はそう言うと、後頭部右側の浮いている長いピンクの髪をつかみ、手前に持って行った。するとすぐさまその髪は硬直し、剣へと姿を変えた。「すごい…ほんとだ…一体どうなってるの?」そういった後、彼女はその剣を巨大怪物体に向けて振りかざした。すると彼女は特に力を入れたつもりはないが、その巨大怪物体の腕はスパッと切れた。「何よの切れ味…これは本当に何?あの巨大で超太い腕を、特に力も入れずに切り落とすなんて…」彼女はその力を不思議に思いながら、巨大怪物体の首を切り落とすことに成功。するとその巨体は細かな粒の集合体となり、最終的には姿を消した。彼女は変身を解除すると、すぐに耳からデバイスを外し、彼にそれを返そうとした。するとその彼は「その力は君のものだ。君が一度装着し、プリキュアを起動した時点で、君の生体データをもとに、適切なパワー出力やスーツがセットアップされた。それは君が持っていてくれ。今回はありがとう!また巨大怪物体が現れたら知らせるよ。その時は、またよろしく!」そう言って彼はその場を去っていった。彼女は学校に遅刻していることを思い出し、学校に向かって走り出した。


 彼女が学校についた頃、人々から巨大怪物体の出没報告を受けた自衛隊が到着した。


彼らの目の前に巨大怪物体の姿はなかった。あるのは壊された数々の建造物の残骸だけであった。

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