第12話 モニカさんと川野先生

モニカさんは、家に帰って行った。おにぎりを食べて気を取り直した私は、再び演奏を始めた。すると、見たことのあるような顔が。


「川野先生!」


「モニカから聞いたわ。頑張っているそうね。」

「え?どういうことですか?」

「モニカは私の留学時代の同級生。流石に私だって、若い女の子を野宿させられないわよ。」

「・・・。」

「まずは自分の力で頑張ってもらって、それでも泊まるところを見つけられなかったら、仕方がないから私の家に泊まってもらおうと思ってたの。でも、それだと怠けちゃうでしょう?」

「そういうことだったんですかー。腰が抜けちゃいました。」

「でも、そもそも、なんで私だけ、あの平和な高校を追い出されたんですか?」

「それは、これから色々な経験をして、あなたのおうちに帰る頃に分かるわよ。」

「そんな、勿体ぶらなくても・・・」

「まあまあ。また、気が向いたら様子を見にくるから、頑張ってね。」

「はーい!」

川野先生はホウキに乗ってどこかへ飛び去った。

夕方になると、リタちゃんキラくんが、お友達をたくさん連れて現れた。ギターをちょっと鳴らすと、みんな目を輝かせた。

(・・・もしかして、みんなにギターを教えようか?)

と思った私は、みんなにギターの形のジェスチャーをした。

みんなは、それぞれ杖でギターのおもちゃのようなものを出してくれた。おそらく、まだ子供だから、魔法でちゃんとしたギターは出せないのだろう。魔法学を習い始めたばかりなのかもしれない。

音楽は国境を越える。みんな、夢中になってギターを練習している。そして、あっという間に時間がすぎ、子供たちはそれぞれの家に帰って行った。

「楽しかったねー!」


リタちゃんキラくんとモニカさんの家に帰ると、私はモニカさんに身振り手振りでお願いをした。


「すみません、ここの家で子供たちにギターを教えさせてください。それで、コインをもらって、それをモニカさんの家の生活費に入れますから。」


モニカさんは驚いていたが、オーケイだと伝えてくれた。ギターがあって、本当に良かった。モニカさんが、ギター教室の時間と場所を紙に書いて、町の掲示板に貼ってくれた。リタちゃんキラくんも宣伝してくれるそうだ。モニカさんのお仕事をギターの音で邪魔するわけだから、きちんと子供たちに教えようと思った。

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