第112話 不思議な輝き
ライト 「おい!お前ら!人間をなめるんじゃねぇーぞ!ブヒっ!」
剣の刃を一直線で突き出すライトにオーク達は振り返り立ち上がる。
リリア 「ブ…ブヒ…?」
マレイン 「…えっ?」
ネイリー 「はぁ…」
緊張感が漂う戦場にライトは妙な言葉で話す。リリアとマレインは思わず目を丸くし口をポカンと開け唖然とする。
ネイリーは以前、魔獣ゴブリンと共に戦い既に聞いた事があるライトの口調に額に手を当てため息をつく。
「ナンダァ?ニンゲンかぁ?」
ライトが姿を現すも魔獣オークは至って冷静で他の4体は身構える。
ライト 「お前がファイヤー村の近辺で荒らしていたオークだな?ブヒ」
「アァ。イカニも。オレがダレダカわかってもナオ、デテくるとはモノズキだな!ブッヒッヒッヒ!」
オーク達は図太い声でケラケラと笑う。
ライト 「お前なんてすぐにぶっ潰してやるよ!ブヒ」
「ブッヒッヒ!!イキのいいニンゲンダナぁ!」
ライト 「お前こそ活のいい豚だな。ブヒブヒ」
「テェンメー!!サッキからブヒブヒなんナンダ!ソレにオレタチはブタじゃねーゾ!モウ、オレオコッタ!」
ライトは案の定、敵を挑発してしまいオーク達はカンカンに怒ると武器を手に取り突進する。
突進するオーク達にライトは剣を頭上にあげると大きく縦に振る。
ライト 「
凄まじい衝撃波が繰り出され魔獣以外のオーク達は空洞にある壁に背中が当たる。
「「「「ブヒッ!」」」」
ライト 「ネイリー!雑魚を頼む!」
ネイリー 「あぁ!分かっている!」
オーク達が壁に背中が当たり衝撃で屈んでいる間、ネイリーは大きく飛躍すると魔獣を飛び越え拳に力を込める。回りにオレンジ色に輝く斑点の光が2つ出来上がる。
ネイリー 「
怯んだオーク達に向い衝撃波を繰り出すと空洞で出来た小さな洞窟は粉々になり遠くの位置まで吹き飛ばす。
マレイン 「
足元から風を出すとマレインは吹き飛んだオークの位置まで素早く走り抜ける。
マレイン 「
右腕を前に出し土魔法を詠唱すると土の塊が落下し雑魚のオークは腹から紫色の血を流したまま倒れ込む。
ネイリー 「マレイン!よくやった!」
マレイン 「えへへ…」
褒められマレインは髪をクシャクシャにすると魔獣は持っていた槍を更に強く握りしめライトに突き出す。
「このニンゲン!」
ライト 「おっと!」
突き出した槍に対し右へ転がるように身軽に回避するとライトは魔獣の背後に立ち上がり剣を斜め下に構える。
ライト 「
1秒に剣を2回振ると魔獣は槍を背後に回し横でライトの技をガードする。
「ココジャ、セマイ!」
魔獣は槍でライトの攻撃を受け止めている間に身体を反転し押しだす。
ライト 「うわぁぁぁ~~~~!」
雑魚のオークが倒れている位置までライトは吹き飛ばされ砂利で出来た地に身体が叩きつかれ横たわると魔獣も大きな身体でジャンプし移動する。
魔獣が着地すると地響きが大きく鳴り地が揺れる。
ネイリー 「
頭上から力を込め2発殴ると魔獣は槍を盾にするとカンッカンッ!と鋭い音が鳴り受け止める。
ネイリー 「っち!この魔獣強いな!」
「アイツのジョウホウならココハ、ヨワイニンゲンのヤツラしかイナイはずナノニ!!」
槍を横にしネイリーに突き出すとリリアは自慢の体力で走り足元から光輝く魔法陣を繰り出す。
リリア 「
リリアはネイリーを守るように魔法を詠唱すると魔獣が突き出す槍の攻撃を弾くよにカンッ!っと鋭い音が鳴る。
ネイリー 「助かったリリア!」
横たわっていたライトはすぐに立ち上がり転んだ武器を拾うと距離のある魔獣に目掛け剣を大きく縦に振る。
ライト 「
大きな衝撃波を3連繰り出し魔獣の持っていた槍は吹き飛び砂利の上に転がる。
ライト 「おしっ!今だ!」
勢いをつけ走ると大きく飛躍した瞬間マレインの足元に緑色の魔法時が繰り出す。
マレイン 「
ライト 「うぉおおおお!?!?」
マレインの風魔法でライトは高く浮き驚く。
マレイン 「ライト!風魔法で浮かしたから上から攻撃だ!」
ライト 「あんがと!うぉぉりゃゃや!」
頭上から剣を縦にしライトは身体に僅かに白く輝き落下していく。
マレイン (何だ!?この不思議な感覚と輝きは!?なんだか安心する…)
ライトが輝きに影響しマレインも身体が僅かに白く輝くと、心がどことなく優しい気持ちに包まれる感覚になり胸に手を当てる。
「グッ!!ブキが!!ブキがナイ!!」
魔獣は武器が無くおろおろとしているとライトの剣が頭上に突き刺さり紫色の血を垂れ流し倒れる。
ライト 「おしっ!依頼は達成したな!」
ネイリー 「だな。以前、出会った魔獣ゴブリンより強かったな」
リリア 「うん。ブルー村で戦った時の魔人並みに動きが機敏だったよね」
マレイン 「あの魔獣に勝てるだなんて…。やっぱりライトはネイリーとリリアの話した通り何か特殊の能力があるみたいだね。でもあの感覚は…」
身体を改めてマレインは見渡すが白い輝きは消えているが、感覚だけは消える事は無く違和感を感じる。
リリア 「そう、どことなく落ち着く感覚…。まるで―――」
ネイリー 「では、ファイヤー村に向うか。どのようなモノがあるのか楽しみだ」
すぐにでもファイヤー村に向いたいネイリーはリリアの言葉を遮りキラキラと輝く瞳で話す。
ライト 「ウ、ウン」
リリア 「ソ、ソダネ」
マレイン 「うん、いこうか」
ライト達は整備された道に戻りファイヤー村へと向かう。
リリア 「ねぇ…。さっきオークと戦った時にライト…変な話し方をしていたけどさ。アレって何?」
ライト 「ん?オークなら語尾にブヒってつけると話が通じるんだ!ゴブリンなら語尾にゴブ!だな!すぐに思いついた俺って天才だよな~」
誇らしげに話すライトだが他の3人は黙り込む。
ネイリー (コイツは相も変わらずだな…)
リリア (何それ…。関係ないよ…)
マレイン (喧嘩を売るような話し方だったなぁ…)
鼻歌を口ずさむライトをよそに道を歩き続けていると次第に鉄で出来た建物が建てられている大きな集落が見え始めファイヤー村の門前まで向かう。
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