第36話 ブルー村の闇②
———【現在】
スレン (もう、あんな尾行したくない…。とっとと報告させて帰ろ…)
スレンはライディールと共に3人の後を尾行していた記憶を口には不満を出さないものの、うんざりした表情で思い出す。そして、尾行という名の呪縛から早々に解放されたいがためにその場から動くように声を出す。
スレン 「とりあえず、サモン村長の所に依頼を報告しに向いましょう」
ライト 「そうだな。サモンのじいちゃんにも話したい事あるし」
スレンの提案に3人は魔人達との戦いで、未だに身体に痛みが残るが何とかマジッグベッドに足をつけ立ち上がる。ヨロヨロとしているネイリーをライディールは見かね、お姫様抱っこをしようとするが全力で拒否られ、落ち込んだ表情でトボトボと歩き、サモンの家へと向かった。
サモン村長の家へ辿り着くと3人の見慣れた姿を見て直ぐに中へと入れようとし、道を開ける。そして何事も無く扉をノックし中へ入るが3人の後ろに続くようライディールとスレンの姿を見た瞬間に護衛の人物達はまるで身体がガチガチの石のように緊張していた。
金魚にエサを与えていたサモンは扉がギィと開く重い音が鳴り、きっと依頼をお願いしていた例の3人であろうと振り向く。やはり依頼した3人だ…とサモンが安心仕切った表情を一瞬見せるが、ふと後ろに立つ人影に目線を向けた瞬間に表情が豹変する。後ろに立っている12聖将の2人を見つめ、開いた口が塞がらない程にサモンは驚くが、ライディールは物凄いスピードで接近し、耳元でコソコソと話す。
ライディール 「私とスレンは元々、依頼の事を知っている前提で話してくれ!」
サモン 「は、はぁ…?」
言い終えたライディールはネイリーが立っている位置の後ろにすぐさま戻ったが、状況が呑み込めないサモンは首を傾げ気の抜けた声で思わず反応する。しかし、12聖将の一人であるライディールの頼み事を断る訳にもいかず、サモンは話しを合わせる事にし改めて聞こえるように声を出す。
サモン 「こ、これはこれは皆さま。調査の方はどうなりましたか?」
依頼を受けた3人は顔を俯け原因の張本人の名を中々、言い出せずにいた。沈黙の間が経つにつれてこのままではらちが明かない…とライトはようやく重い口を開く。
ライト 「この不漁を招いた原因は…サモンじいちゃんの息子『サバル』だったよ……」
サモン 「な、何故!?サバルは30年前の戦争の時に死んでしまったハズでは!?」
———【30年前】
雲の1つも見当たらない空に太陽は眩しく輝いていた。風は優しく吹き、海の波は穏やかで船を出すのには絶好の漁日和だ。海岸には船が何隻も陳列されサバルはその中の1隻に乗りブルー村の住民に指示をし終えると父親であるサモンに振り向き、純粋な眩しい笑顔ではつらつとした声を出す。
サバル 「親父!今日も沢山、魚を獲ってくるな!」
サモン 「ブルー村の海の幸はどれも美味しいからな。サバル、海は急に荒れる。気を付けて行って来いよ」
サバル 「ははっ!子供の時から海の気候を読む天才の親父に鍛えられたんだ!大丈夫だって!」
サバルは幼い頃、サモンの背中を見続けていた漁師の心得を学校の勉強の合間に一生懸命勉強していた。そして、学校を卒業後…ついにブルー村の住民をまとめる中核の存在までとなっていた。次第に、ブルー村の海の幸はサファイアローメン国だけではなく、他国にも高い評価が得られていきサバルは時期ブルー村の村長に相応しい者だと住民誰もが口を出す程の信頼を得ていた。サバルにとって、ブルー村の景色、海産物…そして何よりもサモン、住民…全てが誇らしい一時だった。
———そんなある日、ブルー村に上位貴族がやってきた。
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