ずっと一緒にいたかった

@hinano0213

第1話

あたしがいなくなったら、絶対もっとかわいい女の子と素敵な恋をしてね?


2022年4月彼女に時限性心不全が見つかった。病気はもう帰らぬところまで進行していて治療はできないらしい。


この病気は寿命まで体は元気に動くが、寿命のタイミングが来ると体内の時限爆弾が破裂して心不全を起こしてパタンと死んでしまうというものだった。


だから最初は、別な人を好きになったから別れてほしいと言われた。しかし僕は納得できなかった。

だから連絡を遮断されても、つてを辿ってなんとか彼女の入院している病院まで行くことができた。


彼女の性格上嘘がつけないことはわかっていた。


「ほら、そんなことだろうと思ったよ。」


僕がそう言うと彼女は泣き出して本当の事を話した。

もう長くは生きられないこと

でも僕のことが堪らなく好きだということ


だから残りの1年間は彼女と思い出をたくさん作ることに決めた。

それともうひとつ、ある約束をした。


「私が死んだら、君は他の人と必ず結婚をすること」


そんなの無理だけど、その場凌ぎでうんと言った。


彼女曰く、この病気は寿命をタイマーで正確に把握できるそうだ。

画面を見ていると残り364日8時間と書いてあった。

残りの364日全部を僕のものにして、彼女を絶対に幸せにしてやろうと、彼女の中に僕を刻みつけて一生忘れられないようにしてやるんだと、そう決めた。


day1

僕は夏の夜、彼女を連れてナイトプールに行った。彼女の胸は小さかったけどプールの中で1番可愛かった。

「水に浸かったら時限爆弾壊れるかな?!」なんて病気ジョークを言えるくらいにはもう死を受け入れている彼女がいた。


流れるプールでキスをした。抱き合って短い時間を噛み締めた。

2人で居れる時間に期限があることを受け入れたくなかった。

うきわに乗って僕に水をかける。

きゃっきゃと笑う梨花の顔がとても可愛かった。

帰りの電車で梨花は疲れて眠っていた。

その寝顔を見て、今日のはしゃぎ顔を思い出して、なんで梨花があと一年で死ななきゃいけないんだと思って涙がでた。


彼女の最寄駅に着いた。彼女は送らなくていいよ、と言ったけど家まで送らないと心配だった。前に君の膵臓をたべたいという映画を見た時、病気の寿命より早くに亡くなってしまう可能性があることがすごく印象に残っていた。

爆弾以外の何者にも彼女を殺させない。

364日の1日だって削らせないと心に誓っている。


「今日はありがとう、また明日ね」

梨花はそう言って家に帰って行った。


さようならが無ければいいのに。

僕はただの会社員で安月給だったけど、1DKのアパートくらいなら借りれるかな。

それに一年間の期間があるんだからここで金を使わない理由はないだろう。


明日梨花に相談してみよう。

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