龍よ、灰神楽の君よ

水神鈴衣菜

零、ちからたるもの

 昔むかし、雲の上に天があり、そこに光を担う神様と、影を担う神様がおりました。


 ある時、光の神様が影の神様に提案をします。


『地上の人間たちが幸せになれるように、我らの力を分け与えてはどうだろうか』


 影の神様は、光の神様よりも力が弱い。そのためそう言われてしまえば、頷くことしかできないのでした。


 しかし光の神様にだけ地上へ恩恵をもたらせることは、なんだかいい気がしません。


 影の神様は言いました。


『地上の者たちが力を持っては、いつか思い上がってこちらへ刃向かってくるかもしれない。何か力を使いすぎないようにするための枷を与えよう』


 それもそうだと光の神様は思い、力を分け与える代わりに、それに伴う反動も共に与えたのでした。


 地上の人間は、その力を明るいもの『陽』、反動を暗いもの『陰』とし、力を使えるもののことを『陰陽師』と呼ぶようになりました。

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