第99話 露天風呂(4)
遅れてオリンピック選手のようにスタッ!と着地したのは、ふんすふんすとドヤ顔で鼻息を漏らすクロだ。
た、助かった………………。
「クロ、助かったよ…………」
「んぅ〜。危ない所だった、残念キツネは油断も隙もない」
「うぅ………クロさんがひどいですぅ、せっかくいい感じでしたのに………」
ざぱぁ………とお湯を滴らせながら復活したイナリが、どこかにぶつけたのかムチッとした自慢のお尻を擦りながらこちらに戻って来た。
どうやらもう理性を取り戻したらしい。
先程まで振りまいていた淫乱な気配はなく、もはや完全に残念キツネに元通り。
「て言うか、なんでクロさんはいいんですか!?ずるいですぅ!」
自分と入れ替わりで俺の足の上に座ったクロを指さして、ぷんすか!と不満を露わにするイナリ。
たしかにクロは今全裸だ。
濡れた髪から伝った水滴がしっとりした肌を撫で、小さくも形の良い膨らみに沿ってキュッと引き締まったウエストとお尻に落ちて行く。
隠す気なんて一切ない。
大事な場所までしっかり丸見え。
むしろもっと見て欲しいとでも言いたげな視線は一体……………。
イナリはそんなクロを、俺が平気で足に乗せているのが不満なのだろう。
なぜ自分だけダメなのかと。
「いや、だってクロはまだ子供だしな。さすがに性的には見ないって」
「ん。クロまだ子供。十八禁の事分からない」
「"じゅうはっきん"って何ですか…………」
あからさまにとぼけて子供の特権を乱用するクロに二人そろって思わず苦笑いを浮かべる。
いつもはそういう気全開なのに…………。
この前なんて「主、子供は三人欲しい。皆で一緒に鍛錬して、終わったら一緒にお風呂に入ったり日向ぼっこしたりして───────」と。
するには早すぎる将来設計を長々と話していた。
これのどこが"まだ子供"なのか。
こっちの世界の情操教育って早すぎません?
そんな事を思いながら、俺の膝の上を陣取ってドヤ顔のクロと、何とかそこを取り返そうとするイナリが取っ組み合いをしているのを傍観していると。
「わぁ…………とっても綺麗な景色ですね〜!」
「うむ。邪魔するものがなくて星空がよく見えるのだ!」
続いてノエルとアイリスが遅れてやって来た。
とてとて小走りで近づいてくるのはノエルだろう。
温泉で走ると危ないぞ〜…………。
もうノエルが足を滑らせてすってんころりん転ぶのが目に見える。
過去に一回同じような事があったからね……………あの時は氷だったけど。
意外とノエルは抜けてるというか、天然な所がある。
こういう時のお決まりはきっと外さないだろう。
そう考え、最悪の場合でも受け止めようと振り向いた瞬間。
「ぶっ!?」
「にゃわっ!?」
共に小競り合いをしながら顔を上げたイナリの顔が真っ赤に染まり、石化したようにピシリと固まって動かなくなった。
俺も湯けむりの向こうから現れた二人から目が離せなかった。
視界に入った二人はなんと
片やいつも無蔵座に流している髪をアップにまとめ、それによって露となったほっそりした首筋や鎖骨が非常に艶めかしく。
汗ばんで熱を帯びた体から流れた水滴が、健康的な美乳を通り過ぎて小さなおへそを横切り、下腹部に落ちる。
やはり、いつ見てもノエルの裸体は美しい。
そしてもう片や、なぜかタオルは持っているのに、それを片手に掛けて自慢の巨乳やくびれを惜しげなくさらすアイリス。
なんと言ってもまず目を引くのは、歩く度に小刻みに震えるその巨大な二つの果実。
だらしなく垂れるのではなく、まるで重力に抗うがごとく綺麗な形を保つ美乳だ。
さらにくびれや腰はきゅっと締まり、逆におしりはむっちりしていてまさに魅惑のボンキュッボンである。
時折見せるあらゆる男を虜にするであろう蠱惑の微笑みに、毎回背筋をゾクゾクさせられる。
うむ、二人とも実に素晴らしい!
恥じらいのあるイナリもそそられるが、堂々とした二人もこれまた中々……………。
加えて湯気さんが非常に良い仕事をしてくれてる。
こう、適度に肌や局部を隠しているため、より背徳感やエロスを感じれずには居られない。
湯気さんグッジョブ!
あぁ……………まさに
我が生涯に一遍の悔いなし。
まだ死ぬ気は無いけど。
感動のあまり、空を見上げた俺の頬からつぅ………と涙が伝う。
「真白は反応が大袈裟なのだ。私達の裸なんてもう見飽きているだろうに………」
「ふっ、それは違うよノエル。異性の…………特に好きな人の裸はいつ見たってドキドキするもんさ」
「ほら、ノエルさんもご主人様の裸を見てドキドキしているでしょう?それと同じですよ」
「なるほどなのだ!」
俺がキメ顔で放った言葉にアイリスが分かりやすく(?)付け加えると、すぐさまポンッ!と手を叩いたノエルが納得顔でうんうん頷く。
むぅ、実際に対面してそう言われるとものすごく恥ずかしい。
「ちなみに私はムラムラしてます」
「お願いだから今はやめて?」
もう既に何回も煩悩と格闘したばっかりなのよ。
理性が冗談抜きで本当にギリギリ。
アイリスは「さすがに冗談ですよ〜」と言うが、その目はまだ肉食獣の輝きを失っていなかったので、そこはかとなく心配だ。
ノエルが湯船に浸かると、当然のようにクロが右側にずれ、そのまま仲良く二人して俺の太ももの上を占領する。
遅れて入ったアイリスはナチュラルに左手に抱きついた。
そのあまりにも自然すぎる動きに、固まっていたイナリがやっと我に返った。
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