第3話 創造神ノエル
「ふっふっふっ、驚いてくれたようでなによりなのだ!これは準備したかいがあったのだ」
満足気にうんうん、と頷いた神様を名乗る幼女が不意にパチンと指を鳴らすと、今まで足元に散らばっていた羽が一瞬で見る影もなく消えてしまった。
きっと凄腕のマジシャンも真っ青な芸当だろう。
おかげで俺も我に返ることが出来た。
…………落ち着いて状況を整理しよう。
目が覚めて体を起こすと、そこは自宅の寝室でも病院のベットの上でもなく、緑の広がる広大な草原のど真ん中。
所々に生えた木には見たことも無い色の鳥が数羽居る。
よく見るとその向こうは
ドイツのホーエンツォレルン城………………じゃないよな。
あそこにはこんな広い草原なんて無いし。
まさかラ○ュタ?
んな馬鹿な。
周辺をざっと見回した感じでは、全てどこか現実離れした風景だ。
ここがあの世だったり?
そりゃそうか、目の前にこれでもかって言うくらい主張の激しい神様居るし。
改めて正面を向くと、自然溢れる草原に唯一
どうやら俺の反応が相当お気に召したらしい。
「初めましてなのだ、
「あ、ども…………………………………って、創造神!?」
いきなり過ぎない!?
たしかに自分のこと神様っていってたよ?
でもまさか、最初から神様の中でも一番偉い人が出てくるってどういう事ですかね!?
いやその前にちょっと待って、少し記憶が
俺、死んだんだ。
そりゃあんだけ血を流してたら助からないよね…………。
椎菜ちゃんには申し訳ないなぁ。
あんなに幼い時に目の前で人が死ぬのを見たら、下手したらトラウマどころの話じゃなくなってしまう。
出来ることなら俺の事は気にせず…………というのは無理だろうけど、なるべく早く立ち直って欲しい。
結局
それでも、俺の人生は終わったのだ。
二人や仲が良かった友達、両親に心の中で別れを告げてから、伏せ気味だった顔をしっかり上げる。
「落ち着いたか?」
「えぇまぁ。えっと、ノエルさんでしたっけ」
「うむ。だが敬称はいらないぞ?真白には名前で呼んで欲しいのだ。もちろん敬語も無しで良い」
「え………?あ、うん、じゃあノエル。これでいいかな」
「…………っ!う、うむ、それで良いのだ!」
いてっ!?
言われた通り呼び捨てで呼んだら、なぜか顔を赤くしたノエルに勢いよく背中をバシバシ叩かれた。
ちょ、結構痛い!?
本人は軽くやってるつもりかもしれないけど、生き物としての格が違いすぎるせいか見た目以上にダメージがある。
気のせいか、前に酔った父さんに背中叩かれた時より痛いような………。
て言うか、なんでノエルさん………じゃなくてノエルは自分のことを呼び捨てにするように言ったんだろう。
皆にそういう風に接してるのかな。
いや、そもそも俺の前に姿を現したのもか。
ここに来る人全員に会ってるってことはないだろうし…………。
「なんでノエルは、俺をここに連れてきたの?」
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