第122話・護衛任務とお手伝い



 ネーデの森に向かうために、私たちは工務店のおじさんたちと共に、北の門から街の外に出た。

 メンバーは、工務店のおじさんたちが四人と、私とユリウス、それからサーチートだ。

 工務店のおじさんたちとお喋りしながら、ぶらぶら散歩がてらネーデの森を目指して歩いて行く。

 そして森が見えて来て、森の入り口まであと百メートルくらいになった時――森の中から十体くらいのゴブリンたちが飛び出てきたのだ。


「うわ、出た!」


「ぎゃあっ!」


「おじさんたち、私たちの後ろに!」


 ユリウスが剣を抜いてゴブリンを迎え撃つ。

 私は後方にゴブリンや他の魔物、攻撃をしてくるような動物たちが居ない事を確かめて、おじさんたちを後ろに庇った。

 前方では、ユリウスがどんどんゴブリンを斬り伏せていて、私は彼の事とゴブリンを、後ろから鑑定した。


【ユリウス 状態・スキル発動中 ゴブリンキラー】


【ゴブリン 状態:興奮 小動物のキンキン声が気に障っている】


 あはは、二日前と同じ状態だ。

 だとしたら、ゴブリンたちが襲ってきたのは、サーチートのせいだろう。


「オリエちゃ~んっ! ぼく、ぼく、どうなっているのぉ?」


 サーチートが足元をちょろちょろ走り回りながら、泣きそうな声で言った。

 どうなってるって、そりゃあ決まっているだろうと思う。


【サーチート 状態:スキル発動中 ゴブリンホイホイ】


 やっぱり! ホイホイしちゃってる!


「リカバー!」


 アルバトスさんのアドバイスに従い、私はサーチートに異常回復呪文であるリカバーをかけた。

 そして、すぐにサーチートの状態を鑑定する。


【サーチート 状態:通常(リカバー効果:二時間)】


 やった! ゴブリンホイホイ、消えてる! 良かった!

 でも、リカバーの効果に時間制限が!

 二時間って長いの? 短いの?


「オリエ、大丈夫? 怪我はない?」


 襲ってきたゴブリンを全員倒したユリウスは、私を見て、おじさんたちを見てほっと息をついた後、困ったようにサーチートを見つめた。

 きっと、サーチートがホイホイ状態だったのかって事と、リカバーが効いたかどうかっていうのが気になるんだろう。

 でも、今おじさんたちにゴブリンホイホイの事を知られたら不安にさせてしまうだろうから、細かい説明は後からする事にして、大丈夫だよと答える。


「いやぁ、ユリウスさんは本当に強いなぁ。今回の依頼、受けてもらえて良かったよ」


「本当だよ。荷物も持ってもらえるしなぁ」


 工務店のおじさんたちは、安心してくれているようだ。

 おじさんたちの荷物も私とユリウスのアイテムボックスの中に入れてあるし、大変満足しているようだ。

 サーチートのゴブリンホイホイも、制限時間があるけれど、抑える事ができたし、前回ほど多くのゴブリンたちが襲ってくる事もないだろう。

 依頼をこなしつつ、私たちもしっかりと目的を果たさせてもらう事にしよう。

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