人類撲滅特派員 エージェント55号

水谷威矢

人類みんなお掃除しちゃえ大作戦

ピピッ ガーガガー


「アー、アー、マイクのテスト中…。えー、音声記録001。私はエージェント55号、コードネームはダブルハンド。つい10分前に地球に降下完了したところだ。これより、我らがマザー・イヴが計画した、人類みんなお掃除しちゃえ大作戦を開始する」


 作戦内容は至極簡単だ。地球上に存在する人類の99.9%をお掃除しちゃおう、そういう作戦だ。作戦のサブタスクには、人類以外の生物(主に哺乳類)への損害は10%以内に抑えること、地球環境(主に植物と水域)への損害は10%以内に抑えること、がある。正直、こんなサブタスクは間違って地球爆発スイッチを押してしまわない限り余裕で達成できる。なぜこんなサブタスクが設定されているかわからない。


「設定された作戦期間は…、3日」


 この作戦のために私に与えられた時間は3日…


「3日…」


「はあ!?3日!?何かの間違いだろ!入力ミスか?300日の間違いでは?」


 急いでマザー・イヴに連絡を取らねば。えー、090‐XXXX‐XXXX、っと。


ぷるるるる、ぷるるるる、ぷるるるる…


「ハァーイ、こちらマザー・イヴでェーッス。うっふん」


「ボス!!私ですエージェント55号です!」


「ハァイ?エージェント…55号?ああん、はいはいはいスピードスターちゃんね?」


「違います!ダブルハンドです!今地球にいるエージェントの!」


「地球…、ダブルハンド…、オー…。あ!OKOK!人類みんなお掃除しちゃえ大作戦ね?完全に理解した」


「そうです!作戦について不明な点があったのでご連絡差し上げました!」


「ワッツ?不明な点?アテクシの考えた作戦に不明な点なんてェ…」


「あります!間違って作戦期間が3日に設定されいます!正しい作戦期間は何日間でしょうか?」


「えっとぉ、ここに作戦要綱が…。えー、作戦期間、作戦期間っと…」




「3日」


「ええ、3日になっています」


「そう、3日よ、スピードスターちゃん」


「へぇ?よくわかりませんが?あと私はダブルハンドです」


「人類みんなお掃除しちゃえ大作戦に設定した作戦期間は、3日、と言っているのよ、You」


「いや、この作戦内容はとても3日では…」


「次の連絡は作戦完了の知らせがいいわ、スピードスターちゃん。ぜひ頑張って頂戴。アディオス!」


 ぶつん つーつーつー


「…は?」


 私は本当に3日間でこの作戦を完了させなければならないのか…?




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