第15話 水色のダイアリー
響めきが続く中突然大野涼太は私の手を掴んできた。
「 なッ!何するの!? 」
「 何も言わず僕についてきて 」
半ば強引に彼に手を引かれて私達は教室を出た。
すれ違う生徒の視線を浴びながら彼の背中を追った。
『 キャ…大野くんだよ…?…』
『 誰?…後ろの… 』
『 てゆーか何で手を繋いでいるわけ!? 』
『ありえなーい!!』
私が後ろについて行くのを白い目で見る女子達…
「 離してよ! 」
大野涼太はいくら言ってもそのままやめようとしない
そんなことを繰り返しているうちに、最後の階段を登ると、彼は屋上のドアを開けた。
眩しい光がが燦々と降り注ぐ中、奥のフェンスがある場所で彼は立ち止まった。
ようやく私の左手が解放された。
大野涼太はおもむろに振り向き、私の目をじっと見つめる。
耐えきれなくなった私は目をそらしてしまった。
静寂の中、聞こえてくるのは木々をくすぐるそよ風の音だけ
そのイタズラな空気が私の髪をなびかせる。
「 昨日は… ごめん 」
私は、髪をかきあげると、眉をつり上げ睨み返した。
「 謝られても 許さない! 」
「 本当に ごめん 」
「 絶対に許さない! 」
「 ごめん…」
「 あなたのせいで部活もできなくなったのよ!
門限も6時になっちゃうし!
美羽とおやつしたりお喋りしたりもできないし…
それに…返してよ!
私の …私のファーストキスを!
返しなさいよ! バカ! 」
「 … 」
言いたいことは言った。
だからもういいと思った。
こんな人とこれ以上絡みたくない。
私は振り返るとドアの前まで走った。
「 わかったよ!… 」
!?
「 返すよ 」
このひと何言ってるの?
私は別に謝ってもらえればそれだけでいいと思った。
それに相手が彼だから
大野涼太だからよけいに
言いたくなっただけ
いくらモテるからって
あんなことされて…
私の心を傷つけた最低の男…
「 もういい!… 」
「 ちょっと待って! 」
大野涼太はドアの前に立ち塞がった。
!?…
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