第14話



「 話があるんだ 」



「 わ…わたしですか? 」



美羽が恥ずかしそうにそう言うと、彼は小さく首を横に振った。



「 ごめん 君じゃなくて… 」



美羽は肩を落とし、一歩後退りしてしまった。



私?……



自分に指を指すと



彼は頷いた



『『 柚子木さん!? 』』


教室中が騒めき始めた、けど そんなの関係ない…


あの時の雰囲気と似ている


恐怖と不安で胸がドキドキして、何も考えられなくなったあの時と…


透き通る声と甘い香り


間違いない…



私は急に苛立ちを覚えた。



「 私は別に貴方となんか話したくない! 」



『 『 えーー!信じられない!』』



 ・・…・・・・



誰にも届く事のない、騒めきに掻き消された彼の言葉


けれど


大野涼太の唇の動きと、あの時の事を知っている私だけには



はっきりと聞こえた。



君に…謝りたい…と。


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