第1話<β>

「お母さん。観察してたお花なんだけど…。」

「あら、こうくん。どうしたの?」

「実は枯れちゃったんだ…。」

「まあ!あのお花枯れちゃったの!どうして!」

「わからない。ちゃんと毎日お水あげたんだけど…。」

「あら。多分、お水あげすぎて、根腐れしちゃったのかもしれないわね。紅くん、いつもお花のお世話に必死だったの、お母さん見てたから。」

「そっか。水をあげすぎてもダメなんだね。せっかく花の種とか買ってくれたのに、ごめんなさい。」

「いいのよ、気にしないで。また新しいの買ってあげるから。それに買ってあげないと、夏休みの自由研究の観察日記、出来ないでしょ?」

「ありがとう、お母さん。」

「うん、じゃあそれで決まり!そうだ、今日の塾の帰りに、ホームセンターに寄りましょうか。また始めるなら早いほうが良いわよね?」

「うん、ありがとう!」

「じゃあ、そろそろ時間になるし塾に行きましょうか。そうそう、今週末は中学受験の模擬テストがあるわよね。こう君、勉強は順調?」

「…大丈夫。心配しないで、お母さん。」

「そう、なら良かった!じゃ、私、車の中にクーラーかけて涼しくしてくるから、それまでに準備しておいてね。」

「…わかった。」

…ガチャン。

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