狙撃手
「おら!撃って!撃って、撃ちまくれ!」
その合図と共に、魔法銃から放たれた銃弾が俺目掛けて飛んでくる。
銃弾の数は連射できるアサルトライフルなだけあってかなり多い。
だが、それでも【予測】スキルと【回避】スキル。
それに加えて、俺のステータスの中で一番高い敏捷値のおかげもあって銃弾を全て避けきることができている。
このまま避けながら近づきたいんだけど……
「おっと」
「あらぁ~はずしちったか」
次々と放たれる銃弾を避けてタイミングを見て近づこうとしたんだが、ちょくちょく一人。あのリーダーが他のメンバーとは比べ物にならない精度で狙い撃ってくる。
……ってか見覚えあるなあの顔。確か……
「狙撃手だったか?」
「お?知ってんのか?俺のこと?」
リーダーの男がニヤリと笑う。
やっぱりそうだ。こいつどこかで見た顔だと思ったら、あの学校での事件の後に調べた竜の瞳の幹部の一人。
名前は忘れたが、こいつは確か銃使いの狙撃手で、レベルも結構高かったはず。
それなら感じる強さと、この俺を狙い撃つ精度の高さも納得だ。
てか狙撃しろよ狙撃手。
「まあなっと!学校が襲撃された時に巻き込まれたんで竜の瞳についてはしっかりと調べさせてもらったからな。おっと」
「ほぉ、なるほど。確か俺達が襲撃した学校の中で一校だけ作戦を失敗して警察に捕まったところがあったな。
集めた情報によると探索者に邪魔されたらしいが……お前か」
まあ、あそこまで言えばすぐにわかるだろうな。
だけどバレても問題はない。別に隠しているわけでもないしな。
「まあ、もう少し遊んでやろうと思ったがそういうことなら話は別だ。
お前が作戦の邪魔をしてくれやがったせいで俺達の計画がだいぶ遅れちまってるからな……ここで死ね」
リーダーの男はそう言うと同時に、手に持っていた魔法銃を捨て、腰にぶら下げていた二丁のハンドガンを取り出す。
そして、流れるような動きで俺に向かって発砲してくる。
こっちも発砲音もなく、銃弾が撃たれているってことはあのハンドガンも魔法銃だろう。
だけど、俺はそれを左右に動いて避けて、竜の瞳のメンバーが撃ってくる銃弾も避けていく。
「ハァッ!?」
「おい!あいつなんなんだよ!すげえ速さで逃げ回ってるぞ!」
「バカ野郎!よく見ろ!弾を避けているだけだ!」
「マジか!?あのガキ化物か!?」
外野の竜の瞳の奴らは驚いているみたいだけど、レベル差がかなりあるんだからそれは当たり前だ。
さて……さっき狙撃手が口にだした作戦と計画。
作戦は俺が高校襲撃の作戦の邪魔をしたと言っていたからそれで間違いないとして……計画。
これは何を指しているんだ?
わからないけど、莉奈を拐ったことと何か関係があるかもしれない。
だから、そっちは絶対に聞き出してやる。
「複数捕捉。魔法矢」
そのためにもまずは目の前の男達を倒す。
まずはいつも通り武器を狙って【複数捕捉】を使ってから【魔法矢】で透明な矢をぶん投げる。
「うわっ!?なんだこれ!」
「クッソ!どうやって!?」
「お、俺の魔法銃が!?」
よし。これで相手は攻撃手段を失った。
後は……近づいて殴る!
「ぐぼぁっ!」
「がっ!」
「な、なんだよ……こいつ……」
「おっと」
狙撃手以外の二人の男達を殴り飛ばしてから、狙撃手を殴り飛ばそうと思ったけど、受け止められた。
「いいパンチ持ってんじゃねえか。
でも残念だったな。俺には効かねえよ!」
……固いな。
俺の魔犬の腕輪込みの攻撃力よりも防御力が高いのか?
だけど、それにしてもおかしいぞ。
俺が狙撃手から感じてる強さは2000レベル程度のはず。
スキルを使った様子もなかったし、BPの振り方もあの銃撃の精度を考えるのと銃を使ってるのを考えたら、反動を押さえるために力を上げるための攻撃力と精度を上げるための器用。
この二つに割り振ってると思うんだが……
まあいい。
それなら……
「お?」
狙撃手から距離を取って、【アイテムボックス】から龍樹の弓を取り出してから【魔法矢】で透明な矢を作り出して弓につがえる。
「……ぷっ……ハハハハハハッ!弓!弓ってお前! そんなもので俺と戦おうっていうのか? 笑わせてくれるぜ!! そんな時代遅れなもので俺に勝てると本気で思ってんのか!!」
狙撃手の男が笑いながら叫ぶが、俺は気にせずにゆっくりと狙いを定めて狙撃手を【捕捉】する。
「まあ、そう思うのは勝手だけど後悔しても知らないぞ」
狙撃手が防御の構えもとらず、俺の攻撃をその身一つで受けたのに、微動だにしなかったってことはそれだけ防御力のステータスが高いということ。
それなら俺の龍樹の弓を使った攻撃も耐えきれるようなステータスになっている……はずだ。
「ああ、まったく……そんなものでこの俺の力を破れるわけがねえだろう?そらっ!」
狙撃手は自分の防御力を表すように仰々しい動きでアピールしながら挑発してくる。
そして、同時にまた懐から銃を取り出して撃ってきた。
「じゃあ……シッ!」
そんな狙撃手につがえていた透明な矢を、銃弾を避けながら射ち出す。
射ち出された透明な矢は、【捕捉】スキルを使っているのもあって一直線に飛んでいく。
「ハッハッハ!そんなのは効か……ごはぁっ!」
自分の防御力を信用してたであろう狙撃手は避ける気もないのか、また銃の引き金を引こうとしていた狙撃手だったけどそんな状態で俺の【魔法矢】。
それも弓で射ち放った矢を受けきれるわけもなく、そのまま胸を撃ち抜かれて通路の先まで吹っ飛んだ。
……いや……まあ、そうだよな。生きてる?大丈夫そう?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます