とんでもない代物

「ふぅ……今日は疲れたなぁ……」


 正直なところ今日はいろんな事がありすぎてもう頭がパンク寸前だ。


 家に帰った時には日が変わっていて、風呂に入ってベッドに寝転がるとすぐに眠りに落ちてしまった。


 そして、目が覚めると昼になっていますと。


「う~ん……まあ、今日は弓も探しに行かなきゃだったからダンジョンには入れないから別に良いんだけど、なんか損した気分になるな」


 なんか昼まで寝るのは気持ちいいんだけど一日の半分を寝尽くしたって考えたらもったいない気がしちゃうんだよな~


 とりあえず今日の事を考えよう。

 今日は弓を買いにいくつもりだったんだけど、昨日の件で自分の未熟さを痛感させられた。


「やっぱり、弓もだけど近づかれた時のための武器も買っとくべきだよな~昨日近づかれたら何もできなかったわけだし……」


 俺の武器はやっぱり弓だから片手で、使ってない時でも邪魔にならないような武器が良いな。


 そうとなるとかなり候補は絞られてくる。


 両手で使うような槍なんかは自動的に選択肢から外れるし、こんな時に最も近接戦闘する時に使われてる片手剣と呼ばれるようなものも使ってない時邪魔になりそうだ。


 そうとなると……


「短剣かな?」


 短剣ならモンスターから魔石を回収する時に使ってるから他の武器より使いなれてる。


 それに、なにより小回りが利くのが大きい。

 近づかれた時は基本的に俺が矢を射つ姿勢になってるか、単純に速さに追いついていないかだ。


 だから取り出しも早いだろう短剣がベストなんだけど……


「金が……弓と短剣。どっちも買うってなると足りるかな……?」


 今現在、所持している中で使えるお金は十三万五千円ほどある。


 そこにダンジョンの中で考えた通り魔石や素材を売れば良いけどそれでも売れるものが少ないから五万ぐらい。

 足して十八万五千円。


 対して、今の俺のレベルに合うぐらいの弓と短剣だと十五万は確実に超える。


「そうとなると弓だけ先に買って短剣は後で買えば良いか。だけどこれからもレベルが上がることを考えたらもうちょっと良いものが欲しいんだよな……」


 そうなってくるとどうしても値段が上がってしまう。

 まあ、そこは最悪貯金出すから良いんだけど。


 ……だけど、なにかもうちょっと売れる物ないかな?


【アイテムボックス】に入ってる物を確認する。

 これは売れない。これは売れる。これも売れる。これは売れない。


 次々と【アイテムボックス】の中に入っている魔石と素材を確認していく。


「……あ、そういえばまだ確認してなかったな」


【アイテムボックス】の中に入っていた突然変異モンスターの白いコボルトを確認して思い出した。


 そして、取り出すのは魔犬の腕輪と誠三さんにもらった木箱。

 どっちも昨日は帰ってきてからすぐに寝ちゃったから確認する暇がなかったんだよね。


「まずはっと……」


 ステータス画面を開いてスキルの項目を操作する。


 ------

【鑑定Lv.5】:70SP

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「鑑定のスキルレベルが足りなくて昨日は効果まではわからなかったからな。ここまで上げれば大丈夫だろ」


【鑑定】なら探索者協会の支部に行ってもやってくれるけど今回は少しでも使うお金を減らしたい。


 それでも【鑑定】のスキルレベル5なら探索者協会が、【鑑定】できる人を募集してた時の募集要項がスキルレベル5の人を募集してたはずだからこれで最低限効果はわかるはずだ。


「それじゃあ早速。【鑑定】」


 最初に鑑定するのは魔犬の腕輪。


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 魔犬の腕輪

 ・コボルトの突然変異モンスターを倒した者に与えられる腕輪。

 ・攻撃力ステータス+30%

 ・俊 敏ステータス+30%

 ------


「おぉ!結構良いじゃん!」


 さすが突然変異モンスターを倒した時に貰えるアイテムだ。


 効果の+される倍率が結構高い。

 生産系スキル持ちの人も似たような効果のアイテムを作れるけどここまでの倍率は難しいだろう。


 まあ、滅多に現れないのとかなりの強さを突然変異モンスターが誇っているからこそ、これだけの恩恵が与えられるわけだけど。


「それじゃあ次はこの木箱か」


 見た目は身長170は超えてる俺の胸ぐらいまである普通の木箱。

 結構デカイだけあって何が入ってるか本当に予想がつかない。


「う~ん……まあ、とりあえず開けてみるしかないか。誠三さんにもらった物だからおかしな物ではないだろ」


 俺は木箱に付いている蓋に手をかけて、ゆっくりと持ち上げた。


「これは……弓か?」


 そこには一本の洋弓が入っていた。


 でも、ただの弓じゃない。

 色は黒に矢をつがえる部分が白くなっている。


 そして、見るだけでわかるとんでもなく高い品質。

 それこそ俺が今まで使っていた弓よりも遥かに高品質で強い力を秘めているような気がする。


「【鑑定】」


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 龍樹の弓Lv.1

 ・龍樹の体から作られた弓。

 ・攻撃力+500

 ・使用者の成長に合わせて龍の特性により共に成長していく。

 ------


 ……うん?

 なんかとんでもないことが書いてあるんですが……


「いや、これヤバくね!?」


 どう考えても凄すぎるでしょ!!

 えっ、なに、この性能。


 名前からして明らかにヤバそうな素材が使われてるのはもちろん。攻撃力がバグってる。

 元の壊れる前の俺の弓が+50なのを考えたら単純に考えて10倍。


 しかもレベル表記?


 この最後の効果の共に成長に関係あるんだろうけどそんな武器の共に成長するという効果は聞いたことがない。

 これは他の人が隠してるだけかもしれないけどそれでも龍とあるだけで武器としては相当なものだ。


「……誠三さん……これはちょっとお礼とかいう次元じゃないですよ~……」


 てかこんな物をポンッと簡単に渡せるって誠三さん何者だよ……


 というか龍ということは最低でもAランクのモンスターだ。

 値段なんて想像できない。


「いや、だけどこれを使えばかなりの戦力アップ……うん。後で誠三さんに改めて聞きに行こう」


 間違って渡されてたらシャレにならない。

 後で使って傷をつけて弁償なんて言われたら洒落になってないからな。


 木箱にとりあえず仕舞ったままにしとこう。そうしよう。

 そうでもしてないと、か弱い俺の心臓が破裂しちゃうわ。


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 レベル328

 HP:3240/3240 MP:2160/2160

 攻撃力:400(+52)

 防御力:350(+12)

 俊 敏:905(+562)

 器 用:505(+152)

 精神力:1045(+712)

 幸 運:50

 BP:0

 SP:640

 スキル:【魔法矢Lv.11】【弓術Lv.5】【鷹の目Lv.2】【アイテムボックスLv.4】【捕捉Lv.10】【鑑定Lv.5】【MP増加Lv.5】【MP回復速度上昇Lv.5】


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