ボス周回開始!
そんなわけで翌日。
今日も今日とてレベルを上げるために朝早くから犬頭のダンジョンのボス部屋まで来てボス周回を始める。
一回目
昨日と同じ方法でハイコボルト撃破。
『レベルが15上がりました』
二回目
昨日と同じ方法で(以下略
『レベルが14上がりました』
三回目
昨日と(以下略
『レベルが14上がりました』
四回目
ちょっと戦い方を変えてみる。
俺の遠距離攻撃は必中するから今度は【魔法矢】で作った矢を二本同時に射ってみた。
二本同時でもちゃんと当たるのかと不安にはなったけど、必中に偽りなし。
問題なくしっかり倒せた。
『レベルが13上がりました』
五回目
レベルが上がりすぎたのか弓から昨日聞こえたよりも軋んだ音が大きかった。
けど多分まだいける。
『レベルが13上がりました』
六回目
レベルが上がりすぎたのか(以下略
『レベルが12上がりました』
七回目
お昼を食べてからハイコボルトと戦った。
元気いっぱい!
だから力を入れすぎたのか弓からさらに軋んだ音が……やっぱりそろそろ新しく自分のステータスに合った弓に変えるべきか……
『レベルが12上がりました』
八回目
三本同時に【魔法矢】を射ってみた。
二本の時に比べてかなり射つ時の難易度は上がったけどなんとか成功。
これも慣れるためにもうちょっと練習したい。
『レベルが12上がりました』
九回目
以下略!
『レベルが12上がりました』
十回目
記念すべき十回目。
今回は正面から正々堂々戦ってみようと思う。
ボス部屋に入るといつも通りハイコボルトが見えた。
ボス部屋に入ると、初めて戦ったときと同じようにハイコボルトは一瞬で距離を詰めてくると鋭い爪を振り下ろしてくる。
だけど、今度はレベルが上がって俊敏ステータスが上がったから、ソロの時の経験と合わせて余裕を持って避けることができた。
そして矢を射つ。
俺の矢を受けたハイコボルトは吹き飛んで壁に激突すると呻き声を上げながら立ち上がる。
だけどまた動き出す前に【魔法矢】を一回、二回、三回、四回、五回、六回、七回と射ち続ける。
するとハイコボルトはその場で動かなくなった。
『レベルが11上がった』
今回のボス討伐は十回で終わりにしようと思う。
というか終わりにせざるを得ない。
「弓が……」
流石にステータスが上がりまくった状態で使いすぎたのか弓からかなり軋んだ音がしていた。
すぐには壊れないだろうけど、それでもこのペースでレベルを上げるとなるとすぐに限界がくるだろうからその前に弓を買い替えておきたい。
……この弓結構高かったし、弓自体が使われてないから売られてないしでこれより良いものとなると見つからない可能性の方が高いんだよな~……
「……仕方ない。貯まった魔石を売って弓を買う資金を作ってくるか」
幸い魔石はあるしコボルトの素材も何体か【アイテムボックス】に入ってるからお金になるはず。
……ハイコボルトはどうするかな。
何日か前までEランクダンジョンに潜ってた俺がいきなりCランクのモンスター、それも複数体いきなり売りに出したら何かあるって言ってるようなものだ。
そこから芋づる式に俺がユニークスキルを二つ持ってるなんてばれたら困る。
「仕方ないけど、しばらくハイコボルトはタンスの肥やしならぬ、アイテムボックスの肥やしだな」
ハイコボルトは探索者からしたらかなり不人気だから供給が追い付いてないと思うから高く売れると思うんだけど……まぁ仕方ない。
「とりあえず外に出るか」
腕時計で時間を確認するとまだ一時頃だから今から外に出れば移動と買い取り含めても十分弓を探す時間はある。
最悪明日はダンジョン探索を休みにしても良いしな。
「よーっし!弓探すぞ!」
こうして俺はダンジョンを出るため、出口に向かって進む。
慎重に進んではいるけどどうしてもコボルトが出てくるから、コボルトを倒しながら出口に進んでいく。
そして、約一時間進み続けて、ようやく一階層に戻ってくることができた。
「くぁ~……出口まであと少しか」
あと少し。
気を抜かずに、慎重に、警戒して変なところで余計な怪我を負わないように気をつけよう。
「やだぁぁぁあああ!!!誰かぁぁぁあああ!!!」
「……!?叫び声!?」
しかも……
「声が若い……さっきの声は子供か!?」
さっき聞こえてきた声は大人の声には到底聞こえなかった。
なんで子供がダンジョンにいるかは知らないけど、とにかく声が聞こえてきた方に走る。
しばらく走ると見えてきたのは泣きながら尻もちついて座り込んでる子供が二人に白いコボルトに首を掴んで持ち上げられてる拓人くん。
拓人くんは白いコボルトに手を放させようと、持ち上げられながらも白いコボルトを蹴り続けている。
だけど白いコボルトはステータスもない子供の蹴りなんて効くわけもなくニタニタした顔をし続けていた。
「……!拓人くんを離せ!」
拓人くんを掴んでいるコボルトが白い事に引っ掛かる。
だけどそれを考える前に拓人くんを!
コボルトに【魔法矢】を射つ。
【捕捉】スキルを使ったら必中になりはするけど、どんな軌道で向かうかわからないから拓人くんに当たるかもしれないし【捕捉】スキルは使えない。
純粋な弓の腕で狙い射つ。
矢を射つと、器用ステータスも上がっているのもあってうまく白いコボルトに飛んでいく。
「ガルァッ!」
「いてっ!」
だけど白いコボルトは拓人くんを地面に落とすと簡単そうに矢を避ける。
さらに追撃するけど凄まじい速さのバックステップで次々避けられていく。
だけど狙いどおり拓人くん達から距離を取らせることには成功した。
「三人とも大丈夫か!?」
白いコボルトを警戒しながら咳き込んでる拓人くん達に近づく。
「ゲホッ!ゴホッ!に、兄ちゃん……」
「よし、大丈夫そうだな。拓人くん。なんで君たち三人がこのダンジョンにいるか、よ~く聞きたいところだけどそれはあとにしておくよ」
さっきから警戒し続けているけど嫌な予感しかしない。
あの、俺の矢を避けた異常なバックステップの速さと普通のコボルトとは違う白い姿。
そしておかしいぐらい発達している左手の爪と牙。
そんな普通のコボルトと違う白いコボルトに思い当たる節がある。
「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます